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アートへの招待8 やはり迫力、海外大型企画展

文化ジャーナリスト 白鳥正夫

コロナ禍が一服、やっと海外からの大型企画展が関西にも戻ってきた。昨年来、緊急事態宣言の発令に伴い、延期や中止に追い込まれていたが、年末から年明けにかけて、迫力満点の海外美術・博物館の名品展が開催中だ。美の宴が始まる、と謳う「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」が、大阪市立美術館で新年1月16日まで開かれている。一方、甦る神秘のミイラ、と誘う「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」が兵庫県立美術館で2月27日まで開催中だ。ニューヨークにある世界最大級のメトロポリタン美術館に対し、世界屈指の古代エジプトコレクションを誇るライデン国立古代博物館の名品・いっぴんのきょう宴といった趣だ。待望の特別展を見逃す手はない。

大阪市立美術館の「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」

珠玉の名画65点、うち日本初公開46点
 フェルメールやカラヴァッジョ、名画の数々

メトロポリタン美術館は、アメリカの独立宣言90周年を祝い、実業家や資産家、芸術家など市民によって、1870年に創立された。セントラルパーク内の建物には、先史時代から現代まで、5000年以上にわたる世界各地の文化遺産や美術品を150万点以上所蔵している。現在の改修工事で閉鎖中のため、来日開催が実現し、大阪に続いて東京の国立新美術館(2022年2月9日~5月30日)へ巡回する。

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メトロポリタン美術館正面入口
© Floto+Warner for The Metropolitan Museum of Art

メトロポリタン美術館の所蔵品を構成する17部門のうち、ヨーロッパ絵画部門に属する約2500点の所蔵品から、選りすぐられた珠玉の名画65点、うち日本初公開46点が出品されている。今回は15世紀の初期ルネサンスの絵画から19世紀のポスト印象派まで、西洋絵画の500年の歴史を彩った巨匠たちの傑作が、一挙来日した。

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大阪市立美術館「メトロポリタン美術館展」の展示室入口」 ※主催者の許可を得て撮影

展示は3章で構成されている。プレスリリースや図録を参考に、各章の内容と主要な出品作品を取り上げる。

まず第1章は「信仰とルネサンス」。イタリアのフィレンツェで15世紀初頭に花開き、16世紀にかけてヨーロッパ各地で隆盛したルネサンス文化は、神と信仰を中心とした中世の世界観に対して、それに先立つ古代ギリシア・ローマの人間中心の文化を理想とみなし、その「再生(ルネサンス)」を目指したものだった。

中世の絵画では、キリストや聖母は平面的に超然とした姿で描かれ、神性が強調されていたが、ルネサンスの絵画では、古代美術を手本として立体的に人間らしく描写され、人物を取り巻く空間も、遠近法を用いて奥行きが表現されるようになる。人間味あふれる古代の神々の物語を描いた神話画が、宗教画と並んで絵画の主要ジャンルになったことも、ルネサンス期の特徴だ。またドイツやネーデルラントなど北ヨーロッパでは、16世紀に宗教改革による聖像礼拝の否定を受けて、宗教画の需要は減り、神話画や肖像画が隆盛した。

ここでは、イタリアと北方のルネサンスを代表する画家たちの名画17点が展示されている。フラ・アンジェリコ(本名 グイド・ディ・ピエトロ)の《キリストの磔刑》(1420-23年頃)は、背景が金地で埋め尽くされ非現実的だが、十字架を取り囲む人々が手前から奥に向かって楕円形に配置され、空間の奥行きが表現されている。中世美術の非現実性・平面性とルネサンス美術の現実性・三次元性が融合した、初期ルネサンスの貴重な作例といえる。

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フラ・アンジェリコ(本名 グイド・ディ・ピエトロ)《キリストの磔刑》
(1420-23年頃、ニューヨーク、メトロポリタン美術館)
Maitland F. Griggs Collection, Bequest of Maitland F. Griggs, 1943 / 43.98.5

ルネサンスの巨匠ラファエロ・サンツィオ(サンティ)の《ゲッセマネの祈り》(1504年頃)は、新約聖書によれば、キリストは最後の晩餐の後、弟子たちを連れてオリーヴ山のゲッセマネの園に向かい、磔刑への恐れに苦悩しながら神に祈るが、その脇で弟子たちは眠り込んでしまう「ゲッセマネの祈り」の場面を表した。ラファエロが20~21歳頃に描いたものだが、繊細優美な作風を見てとれる。

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ラファエロ・サンツィオ(サンティ)《ゲッセマネの祈り》(1504年頃、ニューヨーク、メトロポリタン美術館)Funds from various donors, 1932 / 32.130.1

ルカス・クラーナハ(父)の《パリスの審判》(1528年頃)は、16世紀にドイツで流行した神話主題で、ユノ、ミネルヴァ、ヴィーナスの3人の女神のうち、誰が「最も美しい者に」と記された黄金のリンゴを手にすべきか、判定を一任されたトロイアの王子パリスは、世界一の美女を与えると約束してくれたヴィーナスを勝者に選んだ。側面・正面・背面と、異なる角度から描かれた女神たちの生々しい裸体は、独特の官能性を漂わせる。

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ルカス・クラーナハ(父)《パリスの審判》(1528年頃、ニューヨーク、メトロポリタン美術館)Rogers Fund, 1928 / 28.221

第2章は「絶対主義と啓蒙主義の時代」で、君主が主権を掌握する絶対主義体制がヨーロッパ各国で強化された17世紀から、啓蒙思想が隆盛した18世紀にかけての美術を、各国の巨匠たちの名画30点でたどる。17世紀初頭、激しい明暗の対比や劇的な構図を特徴とするバロック様式がカトリック世界の中心都市ローマで生まれ、やがてヨーロッパ各地に伝播した。ドラマティックなバロック美術は、カトリック教会と専制君主の宮廷という、聖俗二つの権力の誇示のために活用された。

カトリック圏のイタリア、スペイン、フランドルでは、信仰心を高揚させる宗教画が制作され、スペイン国王フェリペ4世の宮廷では、王侯貴族の壮麗な肖像画が盛んに描かれた。一方、共和国として市民社会をいち早く実現し、プロテスタントを公認宗教としたオランダでは、自国の豊かな自然を描いた風景画、花や事物を主題とする静物画、市民や農民の日常生活に題材を得た風俗画が、それぞれ独立したジャンルとして発展する。また太陽王ルイ14世の治世下で、王権を称揚する芸術の創出を目指したフランスでは、美術政策の中枢を担ったアカデミーの理論に基づき、古代とルネサンスの美術を模範とする古典主義様式の絵画が展開された。

17世紀イタリアの最大の巨匠カラヴァッジョ(本名 ミケランジェロ・メリージ)の《音楽家たち》(1597年)は、最初のパトロンとなったデル・モンテ枢機卿のために、音楽や演劇の集いを開いていた若者たちをモデルとしてこの作品を描いたようだ。とはいえ、左端にキューピッドが描かれているため、「音楽」と「愛」の寓意が主題ではないかと推測されてきた。

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カラヴァッジョ(本名 ミケランジェロ・メリージ)《音楽家たち》(1597年、ニューヨーク、メトロポリタン美術館) Rogers Fund, 1952 / 52.81

ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの《女占い師》(おそらく1630年代)は、占い師の老婆を見つめる若者が、周りの女性たちから財布や宝飾品を盗み取られる場面が描かれている。硬直したようなポーズ、にらみつけるような眼差し、派手な色の風変りな衣服が、強烈な印象を残す。

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ジョルジュ・ド・ラ・トゥール《女占い師》(おそらく1630年代、ニューヨーク、メトロポリタン美術館)Rogers Fund, 1960 / 60.30

ヨハネス・フェルメール《信仰の寓意》(1670-72年頃)は異例の寓意画で、キリストの磔刑の絵画を背にして座る女性は、「信仰」の擬人像。胸に手を当てる仕草は心のなかの信仰を示し、地球儀を踏む動作はカトリック教会による世界の支配を示唆するものと解釈される。十字架、杯、ミサ典書が載ったテーブルは聖餐式を暗示し、床には原罪を表すリンゴと、キリストの隠喩である教会の「隅の親石」に押しつぶされた蛇が見いだされる。

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ヨハネス・フェルメール《信仰の寓意》(1670-72年頃、ニューヨーク、メトロポリタン美術館)The Friedsam Collection, Bequest of Michael Friedsam, 1931/ 32.100.18

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手前にレンブラント・ファン・レイン《フローラ》(1654年頃)、奥にフェルメール《信仰の寓意》の展示風景 ※主催者の許可を得て撮影

他に、フランソワ・ブーシェの《ヴィーナスの化粧》(1751年)や、マリー・ドニーズ・ヴィレールの《マリー・ジョゼフィーヌ・シャルロット・デュ・ヴァル・ドーニュ(1868年没)》(1801年)なども味わい深い作品だ。

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フランソワ・ブーシェ《ヴィーナスの化粧》(1751年、ニューヨーク、メトロポリタン美術館)Bequest of William K. Vanderbilt, 1920 / 20.155.9

第3章は「革命と人々のための芸術」。19世紀はヨーロッパ全土に近代化の波が押し寄せた激動の時代。市民社会の発展を背景にして、絵画に数々の革新をもたらした19世紀の画家たちの名画18点が出品されている。

1789年に勃発したフランス革命は、フランスのみならず、全ヨーロッパの近代社会成立の転換点となり、その波は、各国で次々と民衆が蜂起した1848年に頂点に達した。社会の急速な変化を受け、美術にも新たな潮流が次々と現れる。19世紀前半には、普遍的な理想美を追求するアカデミズムに対して、個人の感性や自由な想像力に基づき、幻想的な風景や物語場面を描くロマン主義が台頭。そして世紀半ばになると、農民や労働者の生活情景や身近な風景を、理想化せずありのままに描くレアリスム(写実主義)が隆盛した。なじみの巨匠らの名画が目白押しだ。

オーギュスト・ルノワールの《ヒナギクを持つ少女》(1889年)には、1880年代に模索した古典的様式と、柔らかく軽やかな筆致の融合を見ることができる。人物も風景も、線描を使わずに様々な色の濃淡で柔らかく描出され、画面全体が美しい色彩のハーモニーを奏でている。

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オーギュスト・ルノワール《ヒナギクを持つ少女》(1889年、ニューヨーク、メトロポリタン美術館)The Mr. and Mrs. Henry Ittleson Jr. Purchase Fund, 1959/ 59.21

エドガー・ドガの《踊り子たち、ピンクと緑》(1890年頃)は、物陰から覗き見るような視点から、舞台裏で衣装を整える踊り子たちの姿を捉えている。ドガはこうした人々の何気ない動作を切り取って描くことを好んだ。この作品が描かれた頃、ドガの視力はすでに著しく衰えていたが、それでも踊り子たちのふとした仕草を捉えるドガの目は鋭く、画面は鮮やかな色彩で輝いている。

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エドガー・ドガ《踊り子たち、ピンクと緑》(1890年頃、ニューヨーク、メトロポリタン美術館)H. O. Havemeyer Collection, Bequest of Mrs. H. O. Havemeyer, 1929 / 29.100.42

ポール・セザンヌの《リンゴと洋ナシのある静物》(1891-92年頃)に描かれたリンゴと洋ナシは、堅固な形態を持ち、並々ならぬ存在感を放っている。机は傾き、壁は歪んでいるように見えるが、画面内の全ての要素が絶妙なバランスで描かれている。

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ポール・セザンヌ《リンゴと洋ナシのある静物》(1891-92年頃、ニューヨーク、メトロポリタン美術館) Bequest of Stephen C. Clark, 1960 / 61.101.3

クロード・モネの《睡蓮》(1916-19年)は、空や様々な植物が池の水に反映する虚構と、水面の睡蓮の葉や水中の水草といった現実の対比から画面は構成され、それが青、緑、黄、白などの縦横無尽な筆致で彩られている。こうした抽象化された画面は、抽象表現主義の先駆けとして評価されている。

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クロード・モネ《睡蓮》(1916-19年、ニューヨーク、メトロポリタン美術館)Gift of Louise Reinhardt Smith, 1983 / 1983.53215

この展覧会のサブタイトル「西洋絵画の500年」は決して誇張ではなく、ルネサンスから19世紀までの西洋絵画史を、網羅的に味わうことができる。コロナ禍から解放され、久しぶりに世界の巨匠たちの名画を堪能した。

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左手前にギュスターヴ・クールベ《漁船》(1865年)などを見入る観客 ※主催者の許可を得て撮影

兵庫県立美術館の「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」

世界屈指、ミイラや副葬品など約250点
 棺の立体展示やミイラのCTスキャン画像

オランダのライデン国立古代博物館は、大英博物館やルーヴル美術館と並び世界屈指の古代エジプト・コレクションを誇る。約2万5000点にのぼる所蔵品から厳選された、ミイラや副葬品など約250点が出品されている。なかでも貴重なミイラ棺12点を特別に立てた状態で展示していて、棺の個性的なかたちや色、装飾などを様々な角度から鑑賞できる。すでに愛知、静岡、東京、宮城、山口を巡回し、本来兵庫展が最終会場だったが、コロナ禍の影響で、福岡市博物館(2022年3月12日~6月19日)と、北海道立近代美術館(2022年7月~8月予定)が延期になった。

オランダ最古の大学都市ライデンの中心部にあるライデン国立古代博物館は、オランダ王国の初代国王ウィレム1世によって1818年に設立され、200年以上の歴史を誇る。17世紀前半にライデン大学が所蔵していた遺物を基盤としたエジプト・コレクションは、ヨーロッパにおける5大コレクションのひとつとされている。

また同館は今日にいたるまで60年以上にわたりエジプトでの発掘調査を行なっている。1960年代にアスワン・ハイ・ダムが建設された際、オランダはユネスコとともに周辺地域における考古学調査の支援を行った。 その活動を通してエジプト政府との良好な関係が生まれ、遺物の一部を持ち帰ることが許されたほか、ダムの底に沈む運命にあったタフェー神殿はオランダに贈られ、現在ライデン国立古代博物館の一階ロビーに移築されている。

さらに1970年代からはカイロ南西に位置するサッカラでの発掘調査を継続し、ツタンカーメン王の側近であったマヤの墓の調査など、世界をリードする研究も多数進められている。

展示は4つのセクションで構成されており、各章ごとの展示内容と主な出品を画像とともに掲載する。第Ⅰ章が「エジプトを探検する」。古代エジプト文明の遺跡や遺物がヨーロッパ世界に広く知られたきっかけは、18世紀の末にナポレオンがエジプトへ遠征し、同行した調査団が著名な『エジプト誌』を出版したことによる。この章では、象形文字を解読したジャン=フランソワ・シャンポリオンらの業績などを紹介。そして最先端の研究や調査で知られるライデン国立古代博物館が現在行っているサッカラ遺跡での発掘調査の様子を、出土品や調査の記録、映像などを用いて展示している。

《ツタンカーメン王の倚像》(新王国時代)をはじめ、《王の書記パウティのピラミディオン》(新王国時代)、《パゲルゲルのナオス形石碑》(新王国時代)などが出品されている。

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《ツタンカーメン王の倚像》(新王国時代)

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《ホルミンの供養像》(新王国時代)

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《王の書記パウティのピラミディオン》(新王国時代)高さ47cm、幅47cm、奥行47cm

第Ⅱ章は「エジプトを発見する」。3000年の長きにわたった古代エジプト文明には、少なくとも30の王朝(出身や家系などで分けられた王のグループ)が存在したことが知られており、現代の研究者たちは大きく初期王朝時代、古王国時代、第1中間期、中王国時代、第2中間期、新王国時代、第3中間期、後期王朝時代、グレコ・ローマン時代という9つの時代に区分している。

ここでは、統一王朝出現前の先王朝時代をあわせた計10の時代につき、代表的な様式の石碑や遺物を通じて当時の世界観や技術の発展などを概観しながら、エジプト文明のさまざまな時代がどのようにして発見、認識されているのかを展示している。

《クウと家族の供養碑》(中王国時代)ほか、《イシスの像》(グレコ・ローマン時代)や、《猫の像》(後期王朝時代)、《イクニューモン》(後期王朝時代)、さらには《パディコンスの『死者の書』(部分)》(第3中間期)などが並ぶ。

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《クウと家族の供養碑》(中王国時代)高さ38cm、幅50cm、厚さ60cm

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《パディコンスの『死者の書』》第3中間期 縦24.5cm、横61.2cm

第Ⅲ章は「エジプトを解読する」。古代エジプト人が「来世の家」と考えた墓からは多くの副葬品が出土している。豪華なミイラ棺、来世の安寧を手助けするための、いわゆる「死者の書」と呼ばれる葬祭文書に記された象形文字、呪術的な意味を込めて作られた宝飾品や身代わりの人形「シャブティ」などを通じ、エジプトの古代文明を読み解く。

今回、ミイラ棺の研究で世界的に知られるライデン国立古代博物館所蔵の貴重なミイラ棺12点を横に寝かせた状態ではなく、特別に立てた状態で立体的に展示していて圧巻だ。立体展示によって、棺に記された「死者の書」などの呪文やさまざまな神々の図像、さらには精緻な装飾や制作の技法、色彩の豊かさや書体の違いまでを間近に見ることができる。

《アメンヘテプの内棺》(第3中間期)や《ホルの外棺》(後期王朝時代)、《金彩のミイラマスク》(グレコ・ローマン時代)、《護符とビーズの首飾り》(新王国時代)、《船の模型》(中王国時代)などが目を引く。

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《アメンヘテプの内棺》(第3中間期)(蓋)長さ185cm、幅50cm、高さ35cm

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《金彩のミイラマスク》(グレコ・ローマン時代)長さ48.5cm、幅28cm、厚さ14cm

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《護符とビーズの首飾り》(新王国時代)長さ36cm

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《船の模型》(中王国時代)

最後の第Ⅳ章は「エジプトをスキャンする」で、これまでのエジプト展では見られなかった試みだ。古代エジプト文明のさまざまな側面を解き明かす研究の最前線を、最新の科学技術を用いた調査や各種の研究プロジェクトを通して紹介している。本展のために最新の装置を用いてCTスキャンを行った、人のミイラ3体と動物のミイラ1体の研究成果を世界初公開し、その内容について検証する。3体の人間のミイラからは、1体にいくつもの護符が置かれていたこと、残る2体には、腹腔内に土製と見られる不明の物体が収められていたことが判明した。

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ミイラ3体などの展示

《男性のミイラ》(第3中間期)や《猫のミイラ》(後期王朝時代またはグレコ・ローマン時代)、《葬祭用(カノポス用)箱》(王朝時代)、《カルトナージュ製の襟飾り》(グレコ・ローマン時代)など注目の展示品だ。

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《男性のミイラ》(第3中間期)長さ160cm、幅38cm、高さ26cm

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《葬祭用(カノポス用)箱》(後期王朝時代)高さ47.5cm、幅22cm、奥行26cm

古代エジプト展は過去何度も開催され、今春には京都市京セラ美術館で「国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話」を鑑賞したばかりだ。しかし展示品や切り口が異なり、今回は棺の立体展示やミイラのCTスキャン画像なども見られ、好奇心をゆさぶり新鮮だった。筆者はエジプトを2度訪ね、壮大なピラミッドをはじめナイル川の上流のルクソールやアスワン、アブ・シンベルなど古代エジプトの遺跡を巡った。神秘と謎に包まれた古代エジプト文明への興味は尽きない。

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ミイラのCTスキャンで研究成果を世界初公開

All images © Rijksmuseum van Oudheden (Leiden, the Netherlands)

文化ジャーナリスト。ジャーナリズム研究関西の会会員。平山郁夫美術館企画展コーディネーター・民族藝術学会会員。 1944年8月14日生まれ 愛媛県新居浜市出身。中央大学法学部卒業後、1970年に朝日新聞社入社。広島・和歌山両支局で記者、大阪本社整理部員。鳥取・金沢両支局長から本社企画部次長に転じ、1996年から2004年まで企画委員を努める。この間、戦後50年企画、朝日新聞創刊120周年記念プロジェクト「シルクロード 三蔵法師の道」などに携わる。 著書に『シルクロード 現代日本人列伝』『ベトナム絹絵を蘇らせた日本人』『無常のわかる年代の、あなたへ』『夢追いびとのための不安と決断』『「大人の旅」心得帖』『「文化」は生きる「力」だ!』(いずれも三五館)『夢をつむぐ人々』『夢しごと 三蔵法師を伝えて』(いずれも東方出版)『アート鑑賞の玉手箱』『アートの舞台裏へ』『アートへの招待状』(いずれも梧桐書院)など多数。