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シルクロード国献男子30年 第11回 感動よぶ「キジル千仏洞」壁画 あまたの方々に合掌

国際協力実践家 小島康誉

キジル千仏洞や天山氷河・カレーズ・農業用井戸掘削、そして新疆の庶民生活などの番組「天山を往く~氷河の恵み シルクロード物語~」は好評だったようで「BSフジへ再放送の要請がきている」と永野浩史プロデューサーからFAX到着。また友人諸氏から「キジルの壁画があれほど素晴らしいとは。小島さんが保存に取り組まれた理由がよく分かった。写真でじっくり見てみたい」などと来電や来信。嬉しいことです。

そこで、このWebで掲載していない壁画などの写真を数点紹介します。当然ながら新疆ウイグル自治区文物局の許可を得ての撮影です。

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第38窟 主室窟頂 天象図・本生図・因縁図(撮影:筆者)

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第38窟 主室左壁上部 伎芸天(撮影:筆者)

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第205窟 主室窟頂左 剥ぎ取り「努力」傷跡も痛々しい(撮影:楊新才氏)

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第188窟 主室正壁・側壁 仏立像(撮影:筆者)

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第8窟 主室窟頂 中軸帯には風神・立仏・双頭金翅鳥など(撮影:筆者)

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第8窟 修復工事(撮影:筆者)

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修復なったキジル千仏洞谷西区と鳩摩羅什三蔵像(撮影:筆者)

初参観時、美しい壁画とともに、仏像も無くなった石窟や一部分が崩れ落ち直射日光を浴びながらも残る壁画が筆者に語りかけてきました。

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第38窟の主室正龕と谷内区の一角(撮影:筆者)

「人類共通の文化遺産」と直感、このままでは消えてしまう、なんとか修復保存をしなくてはと、筆者を動かしたエナジー。あまたの人々の熱い思いが迫ってきました。日中が協力して大規模修復保存工事を始めました。そして20数年の時をへて「世界文化遺産」。あまたの方々の尽力に深謝するばかりです。

私事ですが、帯状疱疹のすさまじい痛みで夜も眠れぬここ一週間。妻が数年前にかかり、「激痛!」と度々。その時は「オーバーなことを」と内心思っていました。自分が発症して、その痛さが分かりました。修復保存協力から世界遺産登録まで立会えた喜びを激痛ととも実感しつつ書いています。ありがとうすべてのすべてありがとう。

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。