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国献男子ほんわか日記101 ウポポイ「共生」に学ぶ

国際協力実践家 小島康誉

北海道白老町に開園した民族共生象徴空間「ウポポイ」で勉強してきた。コロナ禍で約3ヵ月遅れてオープンした「先住民族アイヌの歴史と文化を主題とした日本初、最北の国立博物館」。「青春18きっぷJR北『単独維持困難線区』ほぼ全乗」(ほんわか92)で記した「次ぎは白老町ウポポイへ行くゾ~。オープンしたら国際協力に通じる『共生』精神を学びに行きま~す」がようやく実現した。

後期高齢者が突如目覚め、昨年の春と夏に念仏唱えつつ「青春18きっぷ日本縦断」(ほんわか70)を 楽しんだ。青18夏シーズンとなり、もう一度とウポポイ含めて北から南へ時刻表チエック完了し実行直前、記録的豪雨で九州から中部にかけ100人近くが亡 くなられるなど大きな被害。鉄路も方々で橋流失・土砂流入が発生し運休多々のため中止。コロナ禍でミニボラもままならず、「青春18日本縦断」で乗車した 3セク肥薩おれんじ鉄道へ寸志送金。10日ほど後に社長名の「御礼」到着。復旧後に乗りま~す。

妻が新聞広告でフライト込み激安札幌フリープラン発見。なんと3泊4日2人で約6万。応援消費もミニボラの一環と予約。ところがドッコイ、予約後発 表「Go Toトラベル」は東京除外。知事「夜の街急増注意」と言うだけで休業要請など具体的対策取らず、感染者急増の為。割引はさておき現地の「東京都民への感 情」を考慮して、08/17出発分キャンセル。10月1日「東京発着」もOKとなり、同様プラン再予約。

10月19日羽田から新千歳着、小樽(アイヌ語オタルナイ〈砂浜の中を流れる川〉由来)へ直行。なじみの政寿司で楽しく腹いっぱい。札幌(アイヌ語 サッポロペッ〈乾いた広い川〉由来)へ戻り、指定ビジホ投宿。20日千歳・苫小牧で乗り継ぎ白老(アイヌ語シラウオイ〈アブ多い所〉由来)着。ウポポイま で徒歩10分、「共生」じっくり学習。2007年の「先住民族の権利に関する国連宣言」、2008年の「アイヌ民族を先住民族とすることを求める」国会決 議による施設がウポポイ。国立アイヌ民族博物館・国立民族共生公園・慰霊施設などが整備された。

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ウポポイ:アイヌ語で「皆で歌う」(写真:ウポポイHPより)

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国立アイヌ民族博物館、展示風景。コロナ禍で参観制限・事前予約制

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博物館から国立民族共生公園を望む

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国立民族共生公園で「共生」精神を学習中の中学生

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小僧楽書:背景は講演中のアイヌ青年と聴き入る人々(以上5点撮影:筆者)

椎尾弁匡上人が1922年「共生会」を結成し「国境も民族も選ばない。貧富も男女も隔てない。偏狭・愚痴・怠慢・卑弊を打破する」などを目指した 「共生」精神の実践ともいえる博物館。21世紀は「共生」「国際協力」の世紀。しかし日本でも世界でも人々の欲望・主張は絡み合い実践は中々、正確には 「21世紀は共生・国際協力すべき世紀」。

21日駐札幌中国総領事館へ。コロナ禍で面会は原則禁止の中、頭上や左右から噴射される除菌スプレーを浴び入館し検温。中庭も散策。孔多孜・玉素甫 副総領事(ウイグル族・女性)と旧交を温めた。新疆ウイグル自治区政府外弁から大阪副総領事・中国大使館参事官などをへて活躍中。10数年前に実施した女 史も写る日中文化交流(ウイグル女性は和服、日本女性はウイグル民族衣装)の写真を土産に持参し30年来の親友との楽しい一時、感謝!

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孔多孜・玉素甫副総領事と(撮影:総領事館秘書)

その足で円山公園の紅葉を愛で、夜は妻と活動の勝利閉幕に感謝し乾杯。Go Toトラベル35%補助+地域クーポン=33,000円も頂き、政府と納税者へ合掌。22日羽田帰着。「共生」精神、勉強させていただき、ありがとうござ いました。ウポポイ開園に政府を代表して出席した菅義偉官房長官、約2ヵ月後に首相になるとは本人も考えていなかったのでは? 地味な人柄に期待していま~す。

JALビックリ話:375席ほぼ満員のJAL519便、新千歳着陸後アナウンス「ソーシャルディスタンスをとってお降りください」と。前後左右空きないほど乗せておいて!

ウポポイビックリ話1:博 物館参観しているとスタッフ「気仙沼の方ですか」とお訊ね。東日本大震災で度々通っていた頃の「Reborn! ふっこう気仙沼」パーカーを羽織っていたため。「いや東京からですが、数年通いましたので」「私も行きました。熊本や千葉へも」「熊本は私も。鵡川へも」 と暫しボランティア会話。

ウポポイビックリ話2:参 観後に売店で早めの歳暮を諸氏へ発送しようとすると「運賃受取人払いのみお引受けします。料金が分からないので」と嘘のような本当の話。「贈答先に運賃 払ってもらうのは失礼、方法は?」と訊ねると「郵便局からなら」と。大型ダンボール3箱を呼んだタクシーで郵便局まで運び、1人だけの局員と手分けしてバ タバタ発送。再びタクシーを呼び白老駅へ、飛乗りダッシュ。嗚呼ほんわかほんわか。(10/24記)

 

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。