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国献男子ほんわか日記123 新疆の子供たちに会いたい!

国際協力実践家 小島康誉

10月1日、中華人民共和国は成立72周年を、新疆ウイグル自治区は成立66周年を迎える。池袋を拠点に中国関係書籍出版や日曜中国語サークルなどで日中理解に奮戦している日本僑報社の段躍中・景子夫妻から「66は『六六大順』といって中国ではすべてが順調にいくという目出度い数字だ」と教示いただいた。初めて知った。ありがとうございます。

60周年の2015年10月1日前後は約1ヵ月新疆各地で活動していた。中国共産党中央政治局委員で新疆ウイグル自治区党委員会書記の張春賢氏会見・自治区成立60周年成就展参観・新疆大学小島奨学金30周年記念行事参加・共編『新疆世界文化遺産図鑑』出版式参加・第17回児童育英金授与・ニヤ遺跡変化状況確認・ニヤ遺跡保護強化巡視用小型沙漠車贈呈・農業用井戸掘削・小学校修繕などである。

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新疆伽師の子供たちと。筆者左が新疆日報社の許新江書記(撮影:楊新才氏)

そのひとつが喀什(旧カシュガル)東方の伽師での幼稚園修繕と街路灯設置である。沿海部に比べて若干貧しい新疆発展支援は全国規模で「対口」と称して行われている。例えば上海市は克拉瑪依市、天津市は和田地区への支援である。同様に、新疆内では区都ウルムチなどに比べて、発展が遅れている南新疆の各地を各組織が支援する「訪恵聚」プロジェクトが展開されている。

例えば新疆文化庁は阿瓦提、新疆档案局は英吉沙、新疆日報社は伽師への支援である。南新疆を巡っていた小僧の日程に合わせて新疆日報社党書記の許新江氏が空路駆けつけ、幼稚園修繕・街路灯設置に参加いただいた。上の写真である。6年が経過し小学生として元気に勉強しているであろうこの子たちに会いたい!(09/14記)

パラ精神、日々実践は容易ではない

東京2020パラリンピックが成功裡に終わった。種々の障がいを乗り越えて挑戦する姿に感動した人は多いだろう。「日本パラリンピック委員会」公式サイトに「様々な障がいのあるアスリートたちが創意工夫を凝らして限界に挑むパラリンピックは、多様性を認め、誰もが個性や能力を発揮し活躍できる公正な機会が与えられている場です。共生社会を具現化するための重要なヒントが詰まっている大会です。社会の中にあるバリアを減らしていくことの必要性や発想の転換が必要であることにも気づかせてくれます」とある。

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小僧決意:写真はパラ看板を写す人たち(日本橋にて撮影:筆者)

国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長は閉会式で「金継ぎ」に言及。それは割れた陶磁器を漆で接着し、金などの金属粉で装飾して仕上げ使い続ける日本の伝統技術。会長は「誰もが持つ不完全さを受け入れ、隠すのでなく大事にしようという考え方。私たちの旅をここで終わらせてはいけない。今日は閉会式というより、明るくすべての人が共生できる未来への始まり」と力強く訴えた。

パラスポーツは更に活発化するだろうが、共生社会は容易ではない。日本でも世界でも男女・年齢・国籍・民族・職業・出自・宗教・貧富・身体・性格・能力・思想・嗜好などの差による差別が山とある。一例をあげればオリパラで多数の選手がタトゥー、しかし日本などでは特別視されている。一方、それらの差から競争が生まれ発展があるといったプラスの一面もある。パラ精神を日々実践するのは簡単ではない。目指して努力するしかない。

旗2題:パラ開会式の生中継で日本国旗が紐と風のせいか?縦横逆に掲揚されたように見えた。中国ネット民はさっそく大注目、中国関係サイト「レコードチャイナ」には「東京パラリンピックで日本の国旗が間違って掲げられる。中国版ツイッターでトレンド入り・・・閲覧数が1370万回を超えた。低レベルなミス。日本は一体何をしているのか」などと。また韓国ネット民が中継画像に赤線を付加し、「東京パラリンピックにも“旭日旗”が出現、韓国ネットで批判、問題視されているのは開会式の選手入場シーン。各国選手の配置を上空から見ると旭日旗の形に」と同サイト紹介。人の思いはそれぞれ。ほんわかほんわか。

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。