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国献男子ほんわか日記3 日中の意思疎通はどうやって?

国際協力実践家 小島康誉

今年は大政奉還から150周年にあたります。それを契機に近現代日本の飛躍が始まりました。今年は明治150年ともいえます。

日中国交正常化45周年にもあたります。しかし今も両国の関係はギクシャクしています。私は長年中国で幾多の国際協力活動をしてきましたので、よく訊ねられます。「中国での活動は大変でしょう」「よくぞ35年も!」「新疆は危険では?」「意思疎通はどうやって?」・・・ 中国では「文化遺産を保護す るのはなぜ?」「なぜ大金を投じるの?」「素晴らしいけど自分はできない」「考え方に違いがあるのに!」などと。

言葉が違い考え方が違い政治体制が違い・・・ 理解しあうことは確かに難しいことです。 それでもどうにかやってきました。日中双方の多くの方々のおかげです。

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清華大学の学生諸君からの質問に答える(撮影:趙新利氏)

相手国の悪口を言うのは簡単、それでは何も解決しません。双方が悪い点ばかりでなく相手の良い点に着目することも大切と思います。人と人との関係と同じことです。相互理解を促進するためには、その努力をし続けることが重要と信じてやってきました。

まず反論するのでなく、まず理解するよう努めました。その後に意見を言います。その繰り返しです。実践が実績となり、継続が信頼へと結びつきます。

来年は日中平和友好条約締結40周年です。両国の関係がその名に相応しい関係になるよう、一老人ですが相互理解の努力を続けます。21世紀は国際協力の世紀、中国で世界で国際貢献している方々、是非このADC文化通信へ投稿ください。

ありがとう一日100回

正月三箇日に食したもの=餅・蒲鉾・小松菜・田作り・煮豆・卵焼き・ハム・パン・米・蕎麦・干物・アイスクリーム・御神酒・シャンパン・鴨・海老・お茶・牛乳・うどん・紅茶・味噌汁・粕漬け・・・ 合掌しつつそれらの「生命」を頂きました。ほんわかほんわか。

覚えているだけでもこんなに!よくぞこんなに食べ飲むものですね。これらが口に入るまでには、多くの多くの方々のご努力が!育てた方々、原料から食品になるまで加工した方々。それら食品類を作るための道具類を製造した方々。製造する機械類を製造した方々。スーパーまで運んできた方々、そのトラックを造った方々。店頭で販売している方々。国産ばかりでなく海の彼方から運ばれてきたものもあるでしょう。貨物船を造った方々、造船ドックを造った方々。それ らの資材となる鉄やコンクリート製造会社の方々。・・・

書き出せばキリがないほど多くの方々のご努力の結晶を食べさせていただき、生命を頂き生命を保っている私たち。太陽や雨・空気のおかげもあるでしょう。正に「天地自然の恵みと人々の労に謝したてまつる。いただきます」ですね。ありがたいことです。

食べる物が買えなくて食べられない方、病気で食べられない方・・・ そんな方々に比べてナント幸せなことでしょう。ほんわかほんわか。

ありがたいことです。世の中、ありがたいことで溢れています。しかし日々の生活で目につき口に出るのは、グチ・批判・悪口・・・ ついつい怒ったりイラついたり・・・。

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小僧落書き、背景はフランク・ステラ※の作品(撮影:筆者)

食べたら出す。昨年末の読売新聞「インド5億人トイレなし」と。世界では約9億4,600万人が野外排泄だそうです。小僧も念仏しながら日本縦断した時、やむなく何度も野外ですませました。トイレが有るって凄いことです。ありがたいですね。

世の中、ありがたいことばかりです。初詣に行きました。JR・地下鉄・道のお世話になりました。顔を洗う水も料理する電気も・・・ 皆みんな多く方々のご尽力のおかげ。

ありがたいことばかりです。その都度、「ありがとう」と言います。自動改札機にも自販機にも・・・ 出来るだけ多く言うようにしています。友人諸氏にも勧めています。楽しく明るく幸せに生きるコツと思うからです。ほんわかほんわか。

出来るだけ多くでは曖昧ですので、「ありがとう一日100回運動」を20数年前から提唱しています。そして社会へささやかですが「お返し」しています。ほんわかほんわか「ありがとう一日100回」。きっと幸せな気分に。ほんわかほんわか。

※Frank Stella:1936年アメリカ・ボストン郊外生まれ。20世紀を代表するアーティスト。温厚な人柄に情熱を秘め、ブラック・シリーズ以来挑戦つづける作品は世界各地の美術館にコレクションされている。

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。