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国献男子ほんわか日記46 践、実践、また実践36年

国際協力実践家 小島康誉

新疆文物局の王衛東局長から「ニヤ調査回顧展(仮称)を新疆博物館で9月22日から開催する。開会式に出席し講演して欲しい」とFAX。今年3月、文物局で王局長や李軍副局長・于志勇博物館長らと打合せ合意した「日中共同ニヤ遺跡学術調査30周年」活動の一環です。

演題は展示会名にあわせて「日中ニヤ調査を振り返って」とし、PPT制作に入りました。また展示会用に当時の装備や資料を送ってとのことで、寓居と佛教大学宗教文化ミュージアムに保管している隊旗・ワッペン・旧式GPS・ランプ・測量器具・シャツ・各種報道資料・写真データ・書籍などをEMSで発送しました。2回で15㎏余り、年金生活者には中々の費用。でも依頼されるのはありがたいことです。これらの資料類は30年経って今や貴重品。今後もなんとか保管したいと考えていますが……。

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タクラマカン沙漠での調査は苦労の連続(撮影:筆者)

日本側の30周年記念本『中国新疆36年国際協力実録-キジル・ニヤ・ダンダンウイリク』も再校を終えて、最終段階です。よくぞ36年もと我ながら感心しています。10月出版後に、約840点の写真・資料から「国際協力はこんなに重要か、こんなに大変か、こんな生き方もありなんだ」と感じていただければ幸いです。日本語だけでなく中訳・英訳もつけましたので、世界に発信できます。好評を博すことを期待しています。本号がリリースされる頃は新疆です。

オマケの一枚

ニューヨーク・セントラルパークで似顔絵屋さんに声をかけられました。聞けば20年ほど前に上海からやってきた中国人で、帰らずにいると。片言の米語と中国語で15分ほど交流。最初の質問は「どんな雰囲気?」、つまり笑顔か威厳ある顔か…と、客の希望を聞くなんてサスガ!と思いました。「スマイル!」と答えましたが、そのポーズをとり続けるのも中々ですね。作品は見事なものです。ほんわかほんわか。

付近には10人ほど同業者がいました。半分ぐらいが中国系。彼らは実にたくましいですね。本職のアーティストではメシが食えず、アルバイトの似顔絵で一家を養っていると。

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オマケの一枚:NYセントラルパークにて(撮影:観光客)

いつの間にか見物人が沢山。妙な服を着たジィさんが、ヘンな米語と中国語を話しているからでしょう。これで遺影ができました。それまでヨチヨチ頑張ります。ヨロヨロ漸進します。嗚呼ほんわかほんわか。

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。