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国献男子ほんわか日記75 中国軍艦 被災見舞い 相互理解一歩一歩

国際協力実践家 小島康誉

天皇陛下の即位を国民が祝う「祝賀御列の儀」 (パレード)は台風19号被災地への対応に万全を期すため11月10日に延期されましたが、10月14日に予定されていた自衛隊の「観艦式」は災害派遣の ため中止となりました。参加予定だった中国海軍ミサイル駆逐艦「太原」は同日、中国旗とともに日本国旗を高々と掲げて晴海埠頭に着岸。その船体に中国語と 日本語で見舞いの言葉、日本語では「台風被災心より御見舞 早期復旧心より御祈念」と。下がYouTubeより撮らせて頂いた写真です。相互理解促進はこのような形でも進みますね。2007年「深圳」が寄港した際に艦内を参観したことを思い出しています。

海上自衛隊の護衛艦「さみだれ」は帰途についた「太原」と編隊航行など合同訓練を実施。信号灯通信訓練では自衛隊は「JAPAN」、解放軍は 「CHINA」と発信。訓練終了後、双方隊員がブリッジに整列し、互いに別れを告げたそうです。「太原」の石磊艦長は「今回の合同訓練は相互理解や実務協力の増進につながった」と述べたと新華社ネットは報じています。

友人から「小島さんの名前も載っている新聞広告『日本人70名が見た感じた驚いた 新中国70年の変化と発展』 (日本僑報社)を買おうと思ったが、4900円と高いので止めた。持っていたら貸して」と電話。同社の段躍中代表は「70周年に合わせて、当初7000円 700頁を考えたが、あまりに厚いので減らした。値段は新中国建国1949年の49に合わせた」と。減らしたと言っても563頁4.8㎝。新聞見たら確か に私メの名も。

高校生・ビジネスマン・留学生・看護師・大学生・大学理事長・教授・駐在員・主婦・国会議員・団体役員・日本語教師・新聞記者など老若男女70人の思いが綴られています。その中で、私のタイトル「相互理解促進を皆で!」に近い方は唯一人。日本財団会長の笹川陽平氏の「民間交流の拡大こそ相互理解の要」です。段代表の許可をえて一部引用します。

「筆者は1985年、亡父・笹川良一が人民大会堂で最高実力者・鄧小平氏と会談した際、これに随行して中国を初めて訪問した。以来、何度も中国を訪 問、国家主席を務めた楊尚昆、江沢民、胡錦涛各氏ら要人とお会いした」で始まっています。幾多の活動紹介につづき、「隣国関係は微妙な問題も多く、政治の 影響も受けやすい。そんな中で相互理解、友好を支えるのは民間交流であり、互いに相手を知る知日派、知中派の増加こそ、その力となる。日中関係改善が確か な流れになるよう、『民』の立場から引き続き尽力したく考えている」と締めくくられています。影響力おありの著名人によるこの記述は嬉しいかぎりです。

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「読売新聞」での同書広告と下記「人民日報」での筆者報道

私の「相互理解促進を皆で!」は冒頭で70周年の お祝いを述べ、各種活動を紹介し、「人民日報」のWeb「人民網」取材応答を記しています。まとめで「2014年11月7日、私は釣魚台国賓館で第11回 『北京フォーラム』開会式に参加していた。同日未明、同じ国賓館で2年余りにわたり緊張関係がつづいている日中関係を打開すべく『双方認識4項目』が調印 された。10日、安倍晋三首相と習近平国家主席が会談し、関係改善が動き出した。両首脳は以降も度々会談し、改善を加速させてきた」と、この数年の日中関 係を簡述。
最後に「私はこの37年間、『大愛無疆』精神で各種活動を通じて相互理解促進に取り組んできた。しかし相互理解は難しい。困難であるからこそ相互理 解促進の努力が必要である。20数年前『人民日報』に取材された際もそのように答えている。記事後半をご覧いただきたい。私は今後も『使命』として老残微 力を捧げ、灰はタクラマカン沙漠へ撒く。今年、中華人民共和国は成立70周年を迎える。両国首脳の関係改善意欲に沿い、私たち民間人ももっと努力していく 必要があるだろう」と締めくくっています。

昨今は日韓関係ばかりが注目されていますが、日中関係も改善しつつあると言っても、まだまだです。相互理解促進を皆で一歩一歩

オマケの話:『日本人70名が見た感じた驚いた 新中国70年の変化と発展』で新聞記者と大学副学長が「中国の世界遺産の制覇が目標」と記されています。新疆ウイグル自治区の世界文化遺産キジル千仏洞・ クズルガハ烽火台・スバシ故城・北庭故城・交河故城・高昌故城と世界自然遺産天山山脈もぜひお訪ねください。中でも日本政府が保存資金をユネスコ経由提供 した交河故城と日本人約3000人・企業が修復保存資金協力したキジル千仏洞はじっくり参観くださいね。私が新疆文物局の王衛東局長と共同編集した写真集 『新疆世界文化遺産図鑑』(日本僑報社)で詳しく紹介しています。

蛇足:70周年本で私の肩書は「新疆ウイグル自治区政府文化顧問・日本中国友好協会参与」とされています。新疆政府顧問はしっかり活動していますが、日中友好協会参与は名前だけで何もしていません。佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表として汗を流しています。

過ぎたるは…

観光シーズンです。数年前から中国・韓国だけでなく東南アジアや欧米から観光客が大量に日本訪問。小僧が毎月通う京都も外国人で溢れています。一 時、コインロッカーが不足し、至るところに設置されました。「これでもか!」と言うほどに。それが今では写真のように、ガラ空き。あまりにも沢山設置されたため。

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京都駅にて(撮影:筆者)

何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ですね。ロッカー同様に次々と建てられているホテルや民泊も大丈夫でしょうか? 素人ながら心配しています。我が人生も同様で、あれもしたい、これもやりたいと欲いっぱいの生き方をしてきましたが、一方で適当が良い、ホドホドが良いと 思っています。嗚呼ほんわかほんわか。

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。