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国献男子ほんわか日記97 終戦記念日に誓う 国際協力を細々と

国際協力実践家 小島康誉

戦後75年、特攻隊・沖縄地上戦・広島原爆投下・長崎原爆投下・終戦記念日…今年も暑い夏が巡ってきま した。終戦時、3歳だった私の脳裏には空襲で真赤に燃え上がった名古屋の空が焼き付いています。TVや新聞が戦争の悲惨さを特集しています。「戦争は愚か だ」「追い込まれたとはいえなぜ戦争したのか」「戦争の歴史を伝えたい」「若い人も忘れないで」「父は無念の死を遂げた」「もっと早く終わったら」「地元 の戦争遺構を残したい」「平和を永遠に」「祖国にために戦った人たちを辱めないで」などと。胸に迫ります。

小僧は思う。「戦争は悲惨、避けねばならない」と言うのも重要、だが言うだけでは戦争は避けられない。「戦争は避けねばならない」当然のこと。では どう行動して避けるのか? 戦争反対が世界で叫ばれているのに、人類の歴史は戦争と平和の繰り返し。今も世界ではテロ・紛争・戦争で亡くなる方が…。異星生物が攻めてきて、地球人が 団結せざるをえない時まで、人類は戦争を繰り返すでしょう。

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オーストラリア・カウラ日本人捕虜墓地で回向する筆者(撮影:小島聡子)

戦争を抑止し平和を維持するには、いろんな方法が考えられます。世界中の国が不戦条約を結ぶ。各国が軍隊を放棄する。しかしそれらは実現不可能。国々が話し合い、協調し、助け合うぐらいが現実的方法です。そのための国連ですが、機能不全に陥っています。

米中対立は激化し、「新冷戦」とも言われ、偶発的局地戦の可能性も報じられています。日本はアメリカと中国の間で、難しい立場です。一庶民にすぎない小僧は国際協力を細々と続けます。

感謝のお知らせ:NHK「シルクロード・壁画の道をゆくが9月17日BSプレミアムで再放送されます。キジル千仏洞などの部分は私が仲介し、出演もしました。初回放送より3年も経って、再放送されるのは好評な証拠、ありがたいことです。是非ご覧ください。

コロナ禍で 奨学金も ままならず

私は世界的文化遺産保護研究・人材育成・関連の3分野で、国際協力を実践し、難しい日中間の相互理解促進の一端を担ってきました。人材育成の分野で は小学校建設や新疆大学奨学金・新疆文化文物優秀賞・シルクロード児童育英金の提供です。一部は友人からも拠出いただきました。

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1986年創設の新疆大学奨学金(2018年授与式)

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1999年創設の新疆文化文物優秀賞(2017年授与式)

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1999年創設のシルクロード児童育英金(2019年授与式・以上3点楊新才氏撮影)

新疆大学奨学金・新疆文化文物優秀賞・シルクロード児童育英金は毎年9月後半に贈呈し、漢・ウイグル・カザフ・回・シボ族など多民族の6,600人 余の皆さんに喜んで頂きましたが、今年はコロナ禍で、やむなく来年に延期を新疆政府外事弁公室と合意。日本側「渡航中止勧告」発出中、中国側「入国都市で 2週間隔離観察」「ウルムチ出入り制限」などのためです。お金を送ることは出来ますが、訪問して学生・研究者・児童らと心の交流こそが重要、それが出来な いので来年へ延期となりました。残念!来年は是非! ほんわかほんわか。

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。