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国献男子ほんわか日記32 潜伏キリシタン関連遺産の世界遺産登録を期待!
国際協力実践家 小島康誉日本政府は今年の世界文化遺産として「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」、世界自然遺産として「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」を推薦しています。4~5月にユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)と国際自然保護連合から現地調査報告があり、6月24日から7月4日にバーレーンで開催される第42回世界遺産委員会で決定されます。登録が期待されています。
ここまで来るには関係者のご苦労があったと聞きました。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」では、2001年に長崎県世界遺産登録推進会議が開催されて以降、様々な活動が展開され、2007年に29構成資産からなる「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」として国内の世界遺産暫定リストに掲載。2012年に構成資産を14に絞り込み、2015年に日本政府がユネスコへ推薦。しかし翌16年の事前調査でイコモスから「禁教・潜伏期に重点を置い た内容に見直すべき」と指摘があり、やむなく推薦を取り下げ。昨年1月、日本政府は構成資産を下記12に絞り、名称も「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」と改めて推薦。9月イコモスによる現地調査が実施されました。
長崎空港にて(撮影:筆者)
長崎県の11ヵ所、熊本県の1ヵ所合わせて12ヵ所。上記写真をご覧ください。そのひとつ大浦天主堂を参観してきました。正式名は日本二十六聖殉教者天主堂、フランス人宣教師フューレ神父の設計による中世紀建築の代表であるゴチック様式。1863年に着工され、翌年竣工、1933年国宝に指定されたそうです。外壁の塗り替えなどの工事が3月末までの予定で行われていました。
修復保存工事中の大浦天主堂(撮影:筆者)
イコモス指摘のような「キリスト教信者発見100周年記念碑」が天主堂入口に。数百年にわたって守り伝えられた信仰。碑文を拝読し涙が出ました。
キリスト教信者発見100周年記念碑と説明碑文(撮影:筆者)
私は浄土宗の小僧ですが、他の仏教宗派も神道もキリスト教もイスラム教も……も皆みんな尊いですね。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」と「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界遺産登録を期待しています。
恩を知る
桜だよりが聞かれる頃となります。日本人が愛する桜。その淡い可憐な花は人々を魅了しています。花をめで酒をのみ飯をたべ歌をうたい……楽しいですね。咲く頃は注目される桜も冬枯れの頃は見向きもされません。開花の頃はカメラの放列となる東京の標準木も蕾の頃は誰も見ません。木は一生懸命に準備しているのに。ほんわかほんわか。
小僧落書き:背景は東京標準木(撮影:筆者)
数十年前に知恩院で「加行」を受けていた時、諭していただいた言葉に「咲いた花見て喜ぶならば咲かせた根元の恩を知れ」があります。語源は忘れましたが、その通りですね。私が今日あるのはあの方のおかげ、先祖のおかげ、世界中の人々のおかげ、動物や植物のおかげ、空気や水のおかげ。……のおかげ。ほんわかほんわか。
与えた情けは覚えていても受けた恩は忘れがち。あの恩この恩を忘れることなく、お返ししようと生きていきます。シルクロードで世界的文化遺産の保護研究や人材育成のための各種奨学金提供、農業用井戸を掘ったり、テレビ局や大学などと新疆関係機関とを仲介、あるいは気仙沼微力応援なども……。させて頂けるありがたさ。とは言うものの一方でグチを言いつつ生きています。嗚呼ほんわかほんわか。嗚呼ほんわかほんわか。