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国献男子ほんわか日記86 妖雲“新型コロナ不安症”打倒! 雲破月来池

国際協力実践家 小島康誉

東日本大震災から9年となる3月11日、富士山に、まるで噴煙のような妖しげな雲。新型コロナウイルス 感染症が猛威をふるい、見えない敵に恐れおののき、日本はじめ世界をおおう“新型コロナ不安症”を象徴するかのように。東京オリパラへの妖しい雲行きを象 徴するかのように。急ぎパチリ。

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品川駅ビル群西方約100㎞の霊峰を望んで(撮影:筆者)

日中間ではマスクなどが寄贈され、欧米では国を越えて重症者受入れなど国際協力が実施される一方で、新型コロナウイルスの発生源をめぐって、米中は 外交戦。米国各地で中国へ集団訴訟。日本では新型コロナ制圧へ正念場。北海道「緊急事態宣言」や全国一斉休校要請は延長されなかったが、東京都などは外出 自粛を要請。外国では「都市封鎖」「外出禁止」「飲食店等営業禁止」を命令し、違反者には拘束・罰金が科せられる国がある一方で、日本は「要請」しか出せない。

政府や埼玉県の度々の「大型イベント自粛」要請を踏みにじり、開催されたのがキックボクシング「K-1」。主催者発表で6,500人が観戦。「最大 限の対応策を行い開催決定。感染者が出た場合は迅速に対応する」と主催者(NHK電子版20.03.22)。「迅速に対応」とは? 巨大病院を経営しているのでしょうか? 観戦で感染ではシャレにもならない。こんな調子では政府が「緊急事態宣言」を発出せざるをえない状況になるのでは? 「共生」こそ人間なのに。嗚呼!平和ボケ日本。

新型コロナウイルス感染症は小僧が長年にわたり国際協力を実践してきた新疆でも発症、1月30日マスク寄贈に着手し奔走するも国内で購入できず、東京在住の親友中国人の協力をえて中国河南省で医療用1万枚購入、2月20日工場から発送と、「ほんわか83」で紹介しましたが、27日から新疆政府外事弁公室へ順次到着。

新疆政府外弁への数度のFAX末尾には「山川異域 風月同天 寄諸仏子 共結来縁 中国“防疫情戦” 必勝!」(別の所に暮らしていても、自然はつながっている。この袈裟を仏弟子に喜捨し、共に来世で縁を結ぼう。中国防疫作戦必勝!)と記しました。詩は日 本の長屋王が中国の僧侶に贈った袈裟に刺繍されていたそうです。鑑真和尚を感動させたと伝わっています。

それに対して新疆政府外弁の数度の「心から感謝」FAX末尾には「同舟渡海 中流遇風 救患若一 所憂同也 必勝!」(同じ船で海を渡り、途中で暴風に遭えば、誰もが同じことを心配し、皆が一致協力する。必勝!)とか「疫魔無情 人間有愛」(病魔に情けなく、人間に愛がある)が記されていました。新疆側が日本での発症も心配しての返句です。このような詩の交換も国際協力の意義ある ひとコマですね。

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新型肺炎必勝!を願い(撮影:楊KOL)

写真は東京在住の親友中国人らと会食した際に贈った「雲破月来池」。日本・世界をおおう妖雲“新型コロナ不安症”が消え去り、美しい月が池に輝くことを願って、中国詩からの拙筆。長期戦に備え「真剣に慎重に対応しつつ、明日に向かおう」と意識転換も必要では?

新型コロナ制圧戦に協力するのは当然ですが、皆が萎縮し自粛しすぎて、悪影響がドンドン拡大中。普段の生活や実体経済への悪影響は益々巨大化します。新型コロナで苦しむ方、亡くなる方を減らすとともに、経済的影響で苦しむ方、亡くなる方も減らさねば。

後向きにならず、謎のウイルスと闘っておられる多方面の方々に感謝とエールを送り、前向きに闘いたいですね。新型コロナ制圧へ協力しつつ、萎縮せ ず、自粛しすぎず、密閉・密集・密接を避け、工夫しつつ活動したいですね。ピンチこそチャンス。在宅勤務増加・親子交流充実・訪日外国人主体営業見直し・ 新商品開発・販売方法変更・新技術導入・生産拠点移転・・・など飛躍の始まり。新型コロナ早期収束を切望し、妖雲“新型コロナ不安症”を吹き飛ばそう!

今こそ、笑って働き食べ飲み出し寝る

新型コロナに一定の効果がある既存薬の臨床試験が始まり、各国が急ぐ特効薬も「まもなく」出来るとか。新型コロナが日本はじめ世界中で流行り、“新 型コロナ不安症”が蔓延する今こそ、日常生活も今まで以上に前向きに。TVに登場するような人が今の時期には言えないことを書けば、人間が病気になり、死 ぬのはごく普通の事。誰だって病気になりたくないし、死にたくない。しかし、避けられない摂理。人間に限らず、犬も猫も牛も…桜も梅も…稲も麦も…鮭も鯨 も…どの生物も病気になり、死にます。

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ドラえもんに緊急発注(新千歳空港にて撮影:筆者)

新型コロナが収束するのは暫く先、病気は普通のことと受け入れ、付き合っていくことが重要では? 病気にならないよう気を付けて、免疫力を高める日常生活を。こんな時こそ「笑って働き食べ飲み出し寝る」。「三密」に注意しつつ工夫しつつ活動する小僧で す。ほんわかほんわか。(以上03/31記)

 

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。