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アートへの招待3 関西発!これぞ日本美の美術展

文化ジャーナリスト 白鳥正夫

コロナ禍にあって、連日猛暑が続く。そんな逆境を忘れさせる展覧会が関西の美術・博物館で展開中だ。“―守り伝える日本のたから―”を謳い文句に、京都国立博物館は特別展「京(みやこ)の国宝」を、奈良国立博物館では特別展「奈良博三昧―至高の仏教美術コレクション―」を、ともに9月12日まで開催中だ。また滋賀のMIHO MUSEUMでも、夏季特別展「蒔絵の時代―高台寺蒔絵と名工の誕生―」を8月22日まで開いている。いずれも古来からの日本美を伝える美術展だ。コロナ禍で事前予約制の館もあるが、足を運ぶだけの価値はある。3つの美術展の見どころや主な作品を紹介する。

京都国立博物館の特別展「京(みやこ)の国宝」
質量充実、出品120件中、国宝72件

今に残る古の品々は、大勢の人々の手を経て、過去から現代へと伝えられてきた。日本を代表する歴史都市・京都は、わが国の誇る学問や芸術の一大拠点でもあり、来年度には文化庁の京都移転も控えている。今回の特別展は、京都ゆかりの名高い国宝、皇室の至宝の数々を中心に展示し、文化財のもつ不滅の魅力とその意義を伝えようと企画された。会場では、文化財保護のあゆみや、日々の調査研究、防災、修理といった、文化財を守り伝える上で欠かせない様々な取り組みも取り上げている。事前予約(優先制)を導入。前期(~8月22日)と後期(8月24日~)などで展示替えがある。

わが国では、こうした貴重な品々のうち、特に歴史上、芸術上たぐいない価値を持つものを重要文化財や国宝に指定する制度(文化財保護法)を設けている。そして文化財を国民共通の財産として活用しつつ、将来まで確実に伝えるべく、指定を出発点として社会全体で管理や保護が図られている。展覧会を通じ、日本の歴史と美術工芸の粋を鑑賞し、社会にとってかけがえのない文化財を後世に伝える営みの大切さを知ってほしい、との趣旨だ。

展示は4章構成で、プレスリリースを参考に、各章の概要と主な作品を画像とともに掲載する。第1章は「京都―文化財の都市」。全国で現在、1万件を超える国指定の美術工芸品のうち、およそ6分の1以上が京都府下に伝えられている。平安時代以来、千年以上にわたって都であり続けたこの地には、日本の美術や歴史にとって極めて重要な品々が多数伝わっており、その保全は国を挙げての重大な課題であり続けてきた。古の品々をなぜ守るのか、いかに伝えるのか。国宝が生まれ出るまでのあゆみを追う。

「文化財指定のあゆみと京都」の展示コーナーには、《京都府行政文書》(京都府立京都学・歴彩館蔵、通期展示)や《調査野帳》(京都・公益財団法人美術院蔵、通期展示)などが展示されている。次いで「最初の国宝―昭和26年6月9日指定」。昭和24年(1949年)の法隆寺金堂壁画焼損の悲劇を契機の一つとして、現行の「文化財保護法」が成立し、国民の宝としての重要文化財、国宝の新たな指定制度が出来た。そして昭和26年(1951年)に戦後最初の国宝が誕生した。

ここでは国宝の《御堂関白記 自筆本》(平安時代 10‐11世紀、京都・公益財団法人陽明文庫蔵、通期展示<寛弘元年上巻:前期展示、寛弘八年上巻:後期展示>)や、国宝の《太刀 銘久国》(鎌倉時代 13世紀、文化庁蔵、通期展示)などが出品されている。

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国宝《御堂関白記 自筆本 寛弘元年上巻》部分(平安時代 10‐11世紀、京都・陽明文庫蔵、前期展示)

「文化財保護法」制定以来、国指定品となった美術工芸品は、国宝897件を含む重要文化財1万808件に上る(令和3年3月現在)。第2章の「京の国宝」では、京都の土地や人ゆかりの国宝の数々を分野別に展示している。

絵画では、いずれも国宝の《十二天像》12幅のうち8幅(平安時代 大治2年・1127年、京都国立博物館蔵、水天・帝釈天・毘沙門天・地天:前期展示、月天・羅刹天・火天・梵天:後期展示)をはじめ、《法然上人絵伝 巻三・九》48巻のうち2巻(鎌倉時代 14世紀、京都・知恩院蔵、巻三:前期展示、巻九:後期展示)、雪舟筆《天橋立図》(室町時代 15‐16世紀、京都国立博物館蔵、前期展示)、長谷川等伯筆《松に秋草図屏風》(桃山時代 文禄元年・1592年頃、京都・智積院蔵、前期展示)、俵屋宗達筆《風神雷神図屏風》(江戸時代 17世紀、京都・建仁寺蔵、8月24日‐9月5日展示)など名品ぞろいだ。

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国宝《十二天像のうち水天》(平安時代 大治2年・1127年、京都国立博物館蔵、前期展示)

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国宝《法然上人絵伝 巻九》部分(鎌倉時代 14世紀、京都・知恩院蔵、後期展示)

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国宝 雪舟筆《天橋立図》(室町時代 15‐16世紀、京都国立博物館蔵、前期展示)

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国宝 長谷川等伯筆《松に秋草図屏風》(桃山時代 文禄元年・1592年頃、京都・智積院蔵、前期展示)

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国宝 俵屋宗達筆《風神雷神図屏風》右隻(江戸時代 17世紀、京都・建仁寺蔵、8月24日‐9月5日展示)

彫刻では、国宝の《梵天坐像》(平安時代 9世紀、京都・東寺〔教王護国寺〕蔵、通期展示)や、国宝の《雲中供養菩薩像》北十六号・北二十三号(平安時代 11世紀、京都・平等院蔵、通期展示)などが出品されている。

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国宝《梵天坐像》部分(平安時代 9世紀、京都・東寺〔教王護国寺〕蔵、通期展示)

文化財をめぐる近代の様々な事業には宮内省が大きな役割を果たした。皇室は古来の重要な伝世品を保管しつつ、多くの名宝の献納も新たに受け入れ、時に社寺に援助を与えるなどして、日本の歴史と文化の守護者として活動した。第3章の「皇室の至宝」では、皇室ゆかりの至宝を特に厳選して出品。

小野道風筆《玉泉帖》(平安時代 10世紀、宮内庁三の丸尚蔵館蔵、後期展示)や、今年7月に国宝となった《春日権現験記絵》20巻のうち2巻(鎌倉時代 14世紀、宮内庁三の丸尚蔵館、巻二:前期展示、巻七:後期展示)などが展示されている。

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小野道風筆《玉泉帖》(平安時代 10世紀、東京・宮内庁三の丸尚蔵館蔵、後期展示)

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国宝《春日権現験記絵 巻二》部分(絵:高階隆兼筆 詞書:鷹司基忠ほか筆、鎌倉時代 14世紀、東京・宮内庁三の丸尚蔵館蔵、通期展示)

第4章は、「今日の文化財保護」。貴重な品々の所在や状態をいかに把握し、災厄から守ればよいのか。保存状態が悪化した場合、どのように修理を加えるかなど、文化財保護には、多くの課題がある。京都を中心としつつさらに全国にも目を向け、文化財保護に欠かせない様々な取り組みについても展示している。

この章では、古の品だけでなく、《模造 法界虚空蔵菩薩坐像》原品:神護寺蔵(令和2年・2020年、文化庁蔵、通期展示)や、「日本美術院彫刻等修理記録」(明治-昭和時代 19-20世紀、奈良国立博物館蔵、通期展示)、「模造 春日大社若宮御料古神宝類」原品 春日大社蔵(平成30-31年・2018-2019年、文化庁蔵、通期展示)なども出品されている。

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《模造 法界虚空蔵菩薩坐像》原品:神護寺蔵(令和2年・2020年、文化庁蔵、通期展示)

「国宝」展と冠するこの展覧会の出品目録120件のうち国宝が72件、重要文化財が8件、重要美術品が1件を数える。質量ともに充実のラインナップで、「国宝」の重みと、それを生み出し支えてきた歴史都市・京都の果たしてきた役割を実感する。さらに文化財保護への調査と研究、防災と防犯、修理と模造にまで踏み込んだ展示によって、かけがえのない文化財を後世に伝えていくことの大切さをかみしめる展覧会といえよう。

奈良国立博物館の特別展「奈良博三昧―至高の仏教美術コレクション―」
国宝13件、重文100件で仏教美術史を辿る

奈良国立博物館は、京都国立博物館より2年早い明治28年(1895年)に、東京国立博物館に続いて2番目の国立博物館として開館して以来、古都奈良の社寺に伝わった仏教美術の保管や展示公開に携わってきた。館蔵品は先史から近代まで多岐にわたり約2000件で、とりわけ仏教、仏画、写経、仏教工芸に優れた作品が多く、まさに「仏教美術の殿堂」と呼ぶにふさわしい内容となっている。奈良は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の指定地域でないこともあって、事前予約制は取っていない。前期(~8月15日)と後期(8月17日~)で展示替えがある。

今回の展覧会では、奈良博コレクションの中から精選した国宝13件、重文100件を含む246件の作品によって、日本の仏教美術1400年の歴史を辿っている。展覧会名にある「三昧(ざんまい)」とは、ひとつの対象に心を集中することを意味する仏教由来の言葉で、熱心にほとけの姿を見ることをとくに「観仏三昧(かんぶつざんまい)」と呼ばれている。

展示は10章からなり、日本仏教黎明期の古代寺院の遺宝、密教や浄土教が生み出した仏像・仏画、神とほとけが織りなす神仏習合の造形など、各時代にわたる名品によって構成されている。主な出陳品(すべて奈良国立博物館蔵)の由来を画像とともに取り上げる。

まず奈良博が所蔵するエース級の国宝として《薬師如来坐像》(平安時代 9世紀、通期展示)がある。明治時代初頭まで京都東山の若(にゃく)王子社に伝わった。彫りの深い顔立ちや、衣のひだの鋭い彫りに檀像の特色が顕著だ。

“国宝《薬師如来坐像》(平安時代 9世紀、通期展示)

国宝《薬師如来坐像》(平安時代 9世紀、通期展示)

奈良博が見どころのコレクションとして推奨するのが重要文化財の《弥勒如来坐像》長崎県鉢形嶺経塚出土(平安時代 延久3年・1071年、後期展示)。石の塊から彫り出した如来像。内部に経巻を納めるため、像底に大きな孔が開く。胸や背面に願主や仏師の名前を刻んでいた。

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重要文化財《弥勒如来坐像》長崎県鉢形嶺経塚出土(平安時代 延久3年・1071年、後期展示)

また注目されるのが、国宝の《辟邪絵(へきじゃえ)》(平安-鎌倉時代 12世紀、後期展示)だ。疫病や災いを引きおこす鬼とたたかう5人のヒーローである「天刑星(てんけいせい)」「栴檀乾闥婆(せんだんけんだつば)」「神虫(しんちゅう)」「鍾馗(しょうき)」「毘沙門天(びしゃもんてん)」を勇ましくもユーモラスな姿を見事な筆致で描く、五つの場面すべてを同時公開する。画像は「天刑星」の部分。

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国宝《辟邪絵のうち毘沙門天像》部分(平安-鎌倉時代 12世紀、後期展示)

さらに国宝の《刺繍釈迦如来説法図》(奈良時代または唐時代 8世紀、前期展示)は、かつて法隆寺の鎮守・龍田新宮に伝来した。説法をする釈迦如来を中心に教えを聞く後ろ姿の女性や菩薩、僧侶、供養者らを刺繍技法で表現していて、見飽きない。

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国宝《刺繍釈迦如来説法図》部分(奈良時代または唐時代 8世紀、前期展示)

同じく国宝の《十一面観音像》(平安時代 12世紀、前期展示)は、かつて法隆寺の鎮守・龍田新宮に伝来したとされ、平安仏画を代表する十一面観音像の名品。金箔を細く切った截金(きりかね)文様で華麗に装飾され、斜めを向く姿勢や体の線に沿って施した朱の隈取りなどが特長。

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国宝《十一面観音像》(平安時代 12世紀、前期展示)

釈迦が説いた教え雄を記した経典も数多く出品されている。国宝の《金光明最勝王経 巻第一(国分寺経)》(奈良時代 8世紀、通期展示)は、この経を敬えば国が護られると説く経典。天平13年(741年)、聖武天皇は全国に国分寺を建立し、塔に金字最勝王経を安置するよう命じた。展示品は備後国分寺のものとされる。

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国宝《金光明最勝王経 巻第一(国分寺経)》部分(奈良時代 8世紀、前期展示)

仏像では、重要文化財の《愛染明王坐像》(鎌倉時代 建長8年・1256年、通期展示)は、奈良・興福寺伝来。像内に納められた経典と台座裏の墨書から、制作年、仏師快成作と判明。東大寺大仏殿再建に関係する木材を用いている。「走り大黒天」の名で親しまれる《伽藍神立像》(鎌倉時代 13世紀、通期展示)も出品されている。

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重要文化財《愛染明王坐像》(鎌倉時代 建長8年・1256年、通期展示)

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《伽藍神立像》(鎌倉時代 13世紀、通期展示)

このほか、《三鈷杵(さんこしょ)》(平安時代 12世紀、通期展示)は、川端康成旧蔵。わが国の金剛杵は平安時代後期に優美さ、力強さにおいて完成期を迎えたとされ、美しくカーブする鈷や柄中央の高く突出する鬼目(丸い部分)にそれを認められる。

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《三鈷杵》(平安時代 12世紀、通期展示)

《瓦塔(がとう)》静岡県三ヶ日町出土(奈良時代 8世紀、通期展示)は、奈良時代から平安時代に流行した、素焼きの塔。相輪、屋根、壁を別々に焼成し、組み上げている。第一層の内陣には小仏像が表される。木造の五重塔を模倣した細かな表現が目を引く。

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《瓦塔(がとう)》静岡県三ヶ日町出土(奈良時代 8世紀、通期展示)

愛称「奈良博(ならはく)」で広く親しまれてきた奈良国立博物館の仏教美術コレクションは、京博の「京の国宝展」に劣らず、質量とも見ごたえたっぷり、まさに「奈良博三昧」の魅力を堪能する絶好の機会だ。

MIHO MUSEUMの夏季特別展「蒔絵の時代―高台寺蒔絵と名工の誕生―」
豪華な名品ずらり111件、初公開も20件

京博や奈良博と異なり、こちらは奈良時代から日本で発展し汎用され、日本の漆器における代表的な技法である蒔絵に特化した展覧会だ。今回の企画は、蒔絵が広く普及した高台寺蒔絵に始まり、さらに展開・深化した近世初頭から江戸時代前半の作品を中心として、新興の蒔絵屋と伝統的な蒔絵師という二つの流れを紹介し、続く名工誕生の時代までを展観している。20件の初公開作品を含む計111件を展示し、日本で独自に発達した蒔絵の魅力に迫る。ただしオンラインによる事前予約が必要だ。

そもそも蒔絵とは、漆器の表面に漆で絵や文様、文字などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を「蒔く」ことで器面に定着させ装飾する技法だ。日本での蒔絵の起源は、奈良時代に製作された正倉院宝物の「金銀鈿荘(でんそう)唐大刀」の鞘の装飾に用いられた「末金鏤(まっきんる)」が始まりとされている。平安時代から「蒔絵」と呼ばれるようになり、鎌倉時代に蒔絵の基本的な技法(平蒔絵・研ぎ出し蒔絵・高蒔絵)が完成した。

その後、安土桃山時代、乱世の終息とともに有力戦国武将たちは城や邸宅、寺院や社殿の建設を手掛け、その室内の装飾から調度・飲食器にいたるまで漆芸を好み蒔絵で装飾した。中世には寺社の器物や貴族の調度に限られていた蒔絵の範囲が、近世に入り大きく広がった。また、社会が安定し経済力が増すに従い、蒔絵はより多くの階層にも親しまれるようになった。

展示は5章で構成されており、各章と主な作品を取り上げる。第1章は「高台寺蒔絵―伝統的蒔絵師と蒔絵屋の協演―」。漆黒に金の精細な模様が鮮やかな《枝垂桜蒔絵徳利》(安土桃山時代 16世紀、MIHO MUSEUM蔵)や、豊臣秀吉所用と伝わる《菊桐紋蒔絵風呂桶》(安土桃山時代 16世紀、犬山城白帝文庫蔵)、《沢瀉水葵桐紋蒔絵食籠》(江戸時代 17世紀、個人蔵)などが目を引く。

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《枝垂桜蒔絵徳利》(安土桃山時代 16世紀、MIHO MUSEUM蔵)

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《菊桐紋蒔絵風呂桶》(安土桃山時代 16世紀、犬山城白帝文庫蔵

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《沢瀉水葵桐紋蒔絵食籠》(江戸時代 17世紀、個人蔵)

第2章の「蒔絵屋と町衆の文化―茶道と香道―」では、艶やかな漆味の《柳枝垂桜蒔絵面中次(仙叟宗室在判)》や、豪華で丁寧な作りの《枝菱文蒔絵十種香箱》(いずれも江戸時代 17世紀、個人蔵)などが出品されている。

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《柳枝垂桜蒔絵面中次(仙叟宗室在判)》

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《枝菱文蒔絵十種香箱》(いずれも江戸時代 17世紀、個人蔵)

第3章は「大名の調度―幸阿弥派と五十嵐派―」。中世から将軍家御用として蒔絵技術を守ったのが幸阿弥派と五十嵐派の二大流派の作品を展示。重厚な高蒔絵を施した重要文化財の幸阿弥長重作《綾杉地獅子牡丹蒔絵婚礼調度》(江戸時代 17世紀、林原美術館蔵)や、重要文化財の五十嵐道甫作《秋野蒔絵硯箱》(江戸時代 17世紀、個人蔵、8月11日‐22日展示)、同じく重要文化財の《紫宸殿蒔絵硯箱》(江戸時代 17世紀、個人蔵)など豪華な品が出展されている。

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重要文化財 幸阿弥長重作《綾杉地獅子牡丹蒔絵婚礼調度のうち角赤手箱》(江戸時代 17世紀、林原美術館蔵)

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重要文化財 五十嵐道甫作《秋野蒔絵硯箱》蓋表(江戸時代 17世紀、個人蔵)

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重要文化財 《紫宸殿蒔絵硯箱》蓋表(安土桃山時代 16世紀、MIHO MUSEUM蔵

第4章の「永田友治―蒔絵屋から御用蒔絵師―」には、名工・永田の手がけた《月申鳥蒔絵菓子重》や《波千鳥浜松蒔絵硯蓋》(いずれも江戸時代 18世紀、個人蔵)などの名品が揃う。最後の第5章「名工の誕生―蒔絵屋から蒔絵師へ―」には、伝山本春正作《雲錦蒔絵堤重》(江戸時代 18世紀、MIHO MUSEUM蔵)などが並ぶ。

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《月申鳥蒔絵菓子重》(江戸時代 18世紀、個人蔵)

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《雲錦蒔絵堤重》(江戸時代 18世紀、MIHO MUSEUM蔵)

文化ジャーナリスト。ジャーナリズム研究関西の会会員。平山郁夫美術館企画展コーディネーター・民族藝術学会会員。 1944年8月14日生まれ 愛媛県新居浜市出身。中央大学法学部卒業後、1970年に朝日新聞社入社。広島・和歌山両支局で記者、大阪本社整理部員。鳥取・金沢両支局長から本社企画部次長に転じ、1996年から2004年まで企画委員を努める。この間、戦後50年企画、朝日新聞創刊120周年記念プロジェクト「シルクロード 三蔵法師の道」などに携わる。 著書に『シルクロード 現代日本人列伝』『ベトナム絹絵を蘇らせた日本人』『無常のわかる年代の、あなたへ』『夢追いびとのための不安と決断』『「大人の旅」心得帖』『「文化」は生きる「力」だ!』(いずれも三五館)『夢をつむぐ人々』『夢しごと 三蔵法師を伝えて』(いずれも東方出版)『アート鑑賞の玉手箱』『アートの舞台裏へ』『アートへの招待状』(いずれも梧桐書院)など多数。