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国献男子ほんわか日記10 許可取得は必須!
国際協力実践家 小島康誉もう10年も前のことですが、中国新疆ウイグル自治区で違法調査を行った人たちの「お詫び」を仲介したことがあります。以下は当時の状況です。
2007年3月5日、日本のA国立研究所とB国立大学の教授ら4人が新疆の艾比湖付近で地理方面の調査中に中国測量製図法等違反容疑で取調べられた。A研究所は事件発生後、対策本部を設置し、事態把握と対応にのりだした。その結果、無許可が明確となった。当人たちは「相手方中国人が手続きしているものと思っていた」などと釈明したという。
筆者は新疆ウイグル自治区政府顧問でもあり、日中双方の要請により、A研究所の遺憾表明を仲介した。4月13日、新疆政府庁舎で新疆政府外事弁公室副主任・新疆測量製図局長らにA研究所の別の教授が「悪意は無かったが法規違反は事実、遺憾に思う、今後関係する研究者1,200人に中国法規順守と手続き完全化を連絡する」などと説明。所長名の文書も提出した。先方からは「遺憾表明は評価する、共同研究は歓迎するが法規順守・許可取得は当然のこと、二度と不愉快なことは見たくない、法規に基づき最終処罰を決定する」などと発言があった。さらにA研究所が別の調査をしている新疆文物局長・新疆文物考古研究所長らに対しても同様の遺憾表明と対策を説明。先方から「関係法規順守・許可取得は必須、共同研究は歓迎する、今回の4人は今後歓迎しない」などとの発言であった。
4月末には中国の「新疆日報」などが中国国家測量製図局副局長や新疆測量製図局長などの発言を紹介し報道した。5月9日、A研究所が事件を公表し10日の「京都新聞」が組織名・個人名入りで「研究所は違法行為を繰り返さないよう文書で注意を求めるとともに、海外調査マニュアルの見直しを進める」などと報じた。「読売新聞」も報道した。
2005年にもホータンで某大学元教授による同様事件が発生しています。また楼蘭などへの無許可侵入なども少なくないと聞きます。
長年にわたるキジル千仏洞修復保存・ニヤ遺跡学術調査・ダンダンウイリク遺跡学術調査などで、契約を交わし、新疆政府の許可をとり、必要なものはさらに中央政府の許可をえて実施してきた筆者からすると信じられないことです。
左:1988年新疆文化庁との契約で予備調査を開始、92年に発出された国家文物局ニヤ調査正式許可証
右:2002年新疆文物局とのダンダンウイリク遺跡調査で発掘した壁画の保護協議書等を報じる新疆日報
4人には調査器材・資料没収と罰金刑が科せられた。その後も「相手中国人に任せていた」との立場とか。相手側にも問題があるが、かといって許されることではない。
このようなことをあえて紹介するのは、日本の名誉のために違法事件が二度と起きないことを願ってであり、A研究所教授の発言にそっての注意喚起であり、多くの方々の国際研究が順調に進むことを願ってです。国内外を問わず法規順守は当然のこと。国際化の時代、中国に限らず相手国の関係法規を把握し、契約を交わし、手続きを行い、許可取得を確認したのちに、実施するのは必須能力でしょう。
今週末からまた新疆。仲介した某TV局の撮影と某大学の調査に立ち合い。当然ながら正式協議書を新疆政府機関と調印し許可取得済みです。
ようこそようこそ
ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。皆々様のおかげで、ほんわかほんわか生きています。天地自然の恵みをいただき、ほんわかほんわか生きています。すべてのすべを受け入れて、ほんわかほんわかやっています。
小僧落書き、背景はデビット・サーレ※の作品(撮影:筆者)
ようこそようこそ精神で何とか過ごしています。松原泰道大和尚(故人)が乞われるままに「ようこそようこそ」と染筆された短冊をとある料亭の玄関で拝見したのも懐かしいです。泰道老師、静子奥様にはたいへん可愛がっていただきました。子息哲明和尚(故人)、真紗子夫人にもひとかたならぬお世話になり ました。ありがとうございます。
何事もようこそようこそと受け入れることが心穏やかに生きるコツでは !(^^)!
※David Salle:1952年アメリカオクラホマ州生まれ。新表現主義の画家。ポップアートをベースにして、絵画のみならず写真・映画など広範囲で80年代の享楽的退廃的な混沌とした世相を表現している。