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国献男子ほんわか日記126 新疆ウイグル自治区主席に艾尓肯・吐尼亜孜氏

国際協力実践家 小島康誉

10月1日は中華人民共和国成立72周年、新疆ウイグル自治区成立66周年の喜ばしい日と数回前の「ほんわか」に書いた。9月30日、同自治区の主席が雪克来提・扎克尓氏から艾尓肯・吐尼亜孜氏に交代した。氏は1961年新疆アクス生まれのウイグル族。

中国通の方ならご承知のように、北京市・広東省など各行政単位のトップは中国共産党書記が務め、副書記が政府機関のトップが務める。新疆も同様で、新疆のトップは中国共産党新疆ウイグル自治区委員会書記が務め、同委員会副書記が政府のトップにあたる新疆ウイグル自治区主席を務めている。福建・湖北など省の場合は省長と称されるが、内モンゴル・新疆ウイグルなど自治区では主席と称する。

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筆者右が艾尓肯・吐尼亜孜氏(05/10/29和田博物館竣工式にて撮影:浅岡俊夫隊員)

艾尓肯・吐尼亜孜氏には小僧が建設資金を提供した和田博物館竣工式でお会いした。和田地区の行政のトップ「専員」として参列された。タクラマカン沙漠での約3週間にわたる「日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査」から疲れて戻った翌日のため髭面で挨拶した。拙い中国語も通じたようで200人ほど参加者から度々拍手いただいた。新疆ウイグル自治区副主席となられた後も度々お会いし、国際協力活動を指導いただいた。「おめでとうございます。ご活躍を願っています」と祝意を送った。

退任された雪克来提・扎克尓氏はウルムチ市長時代から度々お会いしご厚情を賜った。会見の模様はYouTubeに「民間外交を続ける日本人~小島康誉師」と投稿されている。主席を7年間務められた。お疲れ様でした。益々のご活躍をお祈りしています。

吉報:10月18日、中国河南省三門峡市で第3回「中国考古学大会」が開催され、国家文物局(文化庁相当)・中国考古学会など主催により、中国考古学100年を記念し「百年百大考古発見」が発表された。北京原人が発見された北京周口店遺跡や始皇帝陵・敦煌莫高窟などとともに、日中隊が「五星出東方利中国」錦を発掘した「新疆ニヤ遺跡」も選出された。「1995年中国十大考古新発見」「20世紀中国考古大発見100」につづく栄誉である。昨今の日中関係にあって、日中が協力した考古調査が評価されたことは明るいニュースと喜んでいる。ニヤ調査発起人・日本側隊長として、感謝するばかり。日中共同ニヤ遺跡学術調査(文科省助成)は1988~97年、諸氏の尽力でタクラマカン沙漠で大規模調査を敢行。その後も研究・報告書・国際シンポジウム・Webなどを通じて成果を発表し続けている。

自分の〇〇で

大統領選に敗れたトンプラ氏が「選挙に不正があった」と主張した混乱は今もアメリカを分断している。情報操作は世界中アチコチに。コロナ禍でも怪しげな情報があふれている。「マスクは不要」「PCR検査はインチキ」「コロナの存在を証明するものはない」「コロナ予防にはこまめに水を飲む」「ニンニクが効く」「納豆が良い」「漂白剤を飲む」「ワクチンを接種すると不妊に」「打つと遺伝子が改変される」「接種でマイクロチップが埋め込まれ追跡される」「腕に磁力が発生する」・・・と信じがたいものだ。しかしこれらを信じる人がいる。

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小僧楽書:ウン万円なら美味は当然、セット550円でこの旨さ(我が三ツ星食堂にて撮影:筆者)

人間は弱い。人に頼りたい。皆の考えを知りたい。人の目を気にし、常識や前例で判断しがち。先日、友人夫妻に夫婦そろって招かれた。「星つきで、評判です。食通の先生、如何ですか」と問われた。招待を受けている身としては「美味しいですね」と答えざるをえなかった。心中は「エッ!これが星つき?」。後日、内情に詳しい方に聞けば「本を売るため掲載店を次々増やしている。修業した店とかコンセプトとか、立地とか話題性など、味以外も含んでいるようだ」と。自分の心で、自分の頭で、自分の目で、自分の手で、自分の足で、自分の舌で・・・生きていきたいですね。

ここまで書いて、U-NEXTで「最高のオバハン中島ハルコ」を見た。林真理子さん原作アラ還名古屋嬢が世の中のワルをぶった切る痛快ドラマ(東海TV制作・フジTV系放送)。大地真央さん演じる主人公が、「映え!」「美味!」とほめる人気グルメインフルエンサー、実は金稼ぎ狙いの味オンチをやっつける第4話。「人のウワサとSNSに真実はない」と辛辣ド直球につづき「自分の目で耳で舌で確かめたことしか信じるべきでない」と。林真理子さんも小僧と同じ考えだ!とニッコリ。嗚呼ほんわかほんわか。(10/26記)

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。