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国献男子ほんわか日記133 海部俊樹先生 ありがとうございました

国際協力実践家 小島康誉

海部俊樹元首相が老衰のため1月9日東京都内で逝去された。91歳。1989年8月に首相に就任し2年3ヵ月政権を担われた。91年の湾岸戦争では多国籍軍に130億ドル提供、停戦後にペルシャ湾の機雷除去に海上自衛隊を派遣、これが自衛隊初の海外派遣だった。2009年政界を引退された。

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海部先生今年の年賀状、96年新疆ウイグル自治区トップの王楽泉書記に紹介(撮影:新疆政府)

海部先生とのご縁は1994年に始まる。小僧が僧籍に入ったのは1987年、師僧は佛教大学の水谷幸正学長(後に浄土宗宗務総長)。インド仏跡巡拝で「釈尊の説法を直に聴き」仏道を志し佛教大学へ社会人入学し学んでいた。水谷先生の支持をえて小僧が88年から始めた「日中共同ニヤ遺跡学術調査」(文科省助成)に対して、94年中国の国家文物局(文化庁に相当)が発掘許可を発出。日本側は佛教大学に「ニヤ遺跡学術研究機構」を設立、その名誉会長に海部先生を水谷先生より紹介いただきご縁が始まった。

以来、日中文化交流促進のため尽力いただいた。96年8月ウルムチで中国共産党新疆ウイグル自治区委員会の王楽泉書記と、11月北京で国家文物局の張文彬局長と会談いただき、佛教大学での文物展・シンポジウム開催で合意。97年9月佛教大学「新図書館開館記念日中共同ニヤ遺跡学術研究国際シンポジウム・出土文物展」を開催し、列席いただいた。98年6月には招聘した新疆ウイグル自治区政府の阿不来提・阿不都熱西提主席と会見いただいた。日中隊が発掘した「五星出東方利中国」錦の金盾贈呈、水谷先生らと「一力」で会食・・・など懐かしい思い出が浮かんでくる。ありがとうございました。

今年も「謹賀新年 お陰様で元気に頑張ってます 皆様の御健勝を御祈りしています」と墨色も鮮やかな賀状をいただいき、また挨拶に伺おうと思っていたら、14日夜ネットで知った逝去5日後の訃報。芸能人などのプライベートはいち早くすっぱ抜くのに、首相だった方の逝去報道が5日後とは? ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

ガンバレ日本! ガンバレ自分!

この「ほんわか」133が配信される頃は「北京2022冬季オリンピック」が開催され、毎日のように「日本また金メダル」などと報じられているだろう。何かと話題の多いオリパラ。対立と協調が混在する世界で、「平和の祭典」オリパラは爽やかな話題であって欲しい。

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小僧楽書:写真は昨年末の銀座4丁目交差点(撮影:筆者)

オリパラなどではそれぞれの国旗を打ち振って「ガンバレ!ガンバレ!」が定番。勝者が国旗をまとってグランドを一周すれば拍手が沸き起こる。ガンバレ日本!ガンバレどの国も! お母さんが子供に「ガンバレ!ガンバレ!」と励ましているように、小僧は壁にぶち当たると「ガンバレ康誉!」と自分で自分を鼓舞。効果絶大!ヤル気が出てくる。貴方さまもお試しあれ。「ガンバレ〇〇〇!」(02/01記)

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。