VOICE

国献男子ほんわか日記135 停滞中の日中関係に明るい話題「五星出東方」

国際協力実践家 小島康誉

2月21日、露プーチン大統領がウクライナの一部地域を「国家承認」、24日には「軍事侵攻」。核兵器もちらつかせながら旧ソ連時代回帰狙いの行動。各国で大規模反対デモ、ロシア国内でも。米・独・仏・英・日などが制裁。国連では日本など81ヵ国提案の「即時撤退」決議案が安保理でロシア拒否権行使により否決され、28日から全加盟国が参加する緊急特別会合で討議開始。戦争でウクライナはもとより周辺国の人々も苦しんでいる。早期解決を願うばかり。北方領土を占拠されている日本にとっても見過ごせない。

2月15日、中国大使館で楊宇臨時代理大使(孔鉉佑大使は帰国中)と会見。「長年にわたり文化・教育方面で尽力し、日本と新疆の理解促進に重要な貢献をされた。今後も新疆発展を支持し支援されることを希望」などと発言があり、小僧からは「コロナ禍が収まったら第二の故郷新疆を是非とも訪れ、相互理解を微力促進したい」などと話した。大使館HPに「楊宇臨時代理大使が日本の友人である小島康誉氏と会見」と写真入りで報じられている。

2月11日、北京冬季オリンピック開催中に「双奥之城新気象-2022中外媒体北京行」(夏・冬五輪開催都市の新情景-2022中外メディア北京ツアー)が北京の国家大劇場で催され、日本など60余名の外国記者が大型舞踊劇「五星出東方」を観劇。「北京日報網」「新華網」「天山網」「網易」など多数の中国ネットが写真入りで報道。日本ではレコードチャイナが「日中共同調査隊が発見した中国の国宝『五星出東方利中国』錦、ついに舞踊劇化」と報じた。小僧のコメントも載った。

“

大型舞踊「五星出東方」の一場面、左奥に「五星」錦(「長江日報電子版」より)

大型舞踊劇「五星出東方」は1995年、日中共同ニヤ遺跡学術調査隊が新疆ウイグル自治区タクラマカン沙漠に残存する都市国家「精絶国」で発掘した「五星出東方利中国」錦を題材とした創作劇。中国各地50劇場へ巡回予定。上海公演の一部はYouTube「中国の大型舞踊劇『五星出東方』・・・」で見られる。小僧らが「日中共同ニヤ遺跡学術調査」(文科省助成)を開始したのは1988年、明確な位置さえ分からぬ中、ラクダで「右だ 左だ」と大沙漠を進み3日目に遺跡中心の仏塔に到達。以来調査を積み重ね「五星」錦を発掘したのは調査開始7年目。その後も調査・研究・報告書・国際シンポジウム・講演・ネット発信・・・。日中双方多領域の教授や駱駝使い・運転手・コックらに協力いただいた。感謝するばかり。隊員諸氏へ吉報をお知らせし、数名の方から喜びの返信をいただいた。

「五星」錦は西域と中原王朝との密接な関係を示す重要文物。「出国(境)展覧禁止文物指定」「1995年中国十大新発見」「20世紀中国大発見100」に続き、昨年には中国考古学「百年百大発見」の栄誉もえた。また中国中央テレビの大型番組「国家宝蔵」などでも度々取り上げられている。そして北京冬季オリンピックに合わせて大型歌舞「五星出東方」、発掘から27年後の吉報。ニヤ調査発起人として、日本側隊長として嬉しいかぎり。

何かと話題の多い北京2022の最中に「夏と冬のオリンピックを開催した都市・・・」と銘打ち、日本など多数の記者も招待されたイベント。中国ネット多数が「日中共同調査隊が1995年に発見した『五星出東方利中国』錦が題材」と紹介。「日中共同で発見」と報じられたことは、停滞中の日中関係にあって、明るい話題と捉えたい。

「あかぎれ」も楽しむ

北京2022冬季パラリンピックが4日から始まる。先月20日終わった冬季オリンピックの公式マスコット「ビン・ドゥンドゥン」(氷墩墩)が中国で大行列ができるほど人気を集め、品薄状態でフル生産中。高値転売した人や偽物製造業者が拘束されたとか。日本でも「ヤフオク」などで高値出品されている。中国大使館主催「北京2022冬季オリパラ展」で頂戴したビン・ドゥンドゥンとパラ公式マスコット「シュエ・ロンロン」(雪容融)を写した。

“

北京冬季オリパラ公式マスコット「ビン・ドゥンドゥン」と「シュエ・ロンロン」(撮影:筆者)

パンダがモデルのビン・ドゥンドゥンは当然ながら素足。小僧も素足、冬でも素足で過ごしているので、毎年「あかぎれ」が出来る。今年も踵あたりがパックリ割れて少々痛い。畏友A氏からは塗り薬などを頂戴した。妻から「足袋を履きなさい」と言われるが面倒で、お寺などへ出かける以外は基本的に素足。冷ッとする爽快感が好きで「あかぎれ」も楽しんでいる。ビン・ドゥンドゥン君も「あかぎれ」かしら? シュエ・ロンロンちゃんも頑張ってね。嗚呼ほんわかほんわか。(03/01記)

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。