VOICE

国献男子ほんわか日記18 連絡たっぷり荷物ちょっぴり

国際協力実践家 小島康誉

国際貢献で度々の新疆。いつも荷物はショルダーバック1個。前後一ヵ月にわたる沙漠での調査でも。理由は簡単、シンプル生活が好きだから。着替え作務衣一着と下着一枚、そして洗面用具だけあれば事足りるから。あとはパソコンと薄型カメラぐらい。

荷物を託送すると飛行機から出てくるまでに15分30分かかります。それを節約するためにも手荷物だけにしています。シンプル大好き。

街でも同様です。財布も持ちません。お金ははだかで、スイカやクレジットカードはポチ袋用のビニール袋に。スマホどころかガラケーも持っていませ ん。緊急用にはテレカ。公衆電話が減り苦労しますが。「元気?」「何やっているの?」的連絡など必要なし。シンプルライフです。先日の妻とのパリ10日間 でも小さな旅行鞄ひとつだけ。妻もイヤイヤ(?)感化されて。チェックインカウンターでの表示は15㎏。

“

日中双方によるダンダンウイリク遺跡壁画保護の打ち合わせ(撮影:新疆文物考古研究所)

たっぷりするのは活動の連絡です。新疆側が「うるさい」と思うぐらいに詳細に度々連絡します。メールはやらないので、FAXと電話で。外国との意思 疎通は難しいです。同じ文化の日本人同士なら言わなくても通じることも外国人には分かってもらえません。言葉の違いは考え方の違いでもあります。事細かく 連絡します。私的旅行なら一行二行で済むでしょうが、複雑な国際協力事業では連絡を何回も何回もする必要があります。

相互理解はこうして進みます。事前調整が重要ですね。その結果、上記写真のような活動現場での打合せもスム-スに進みます。「連絡たっぷり」が国際協力の要諦です。

おかげおかげ

おかげさまでヨチヨチ生きています。天地自然す べてのすべてに助けられて生きています。ありがたいことです。感謝しきれません。大袈裟と言われるでしょうが、地球号乗組員74億人の世話になり生きてい ます。直接的には100人1000人程度でしょうが、間接的には世界中の人々のおかげで生きていると言えますよね。

いまふと疑問が生じました。ナゼ「大袈裟」のなかに僧侶の法衣のひとつである「袈裟」が使われているのでしょう。ほんわかほんわか。

それはさておき、太陽や空気から始まりアフリカの象やインドネシアの大木……ヒマラヤの岩石や太平洋の水……世界各地のあの人この人……あの植物この魚……あの機械この道具……あの出来事この出来事……のおかげおかげで生きています。ありがたいことです。

“

小僧落書き、背景は高松次郎※の作品

おかげおかげ、と手を合わせて今日も生活しています。させて頂いています。小僧も昔はおかげおかげとは思えませんでした。自分がこんなに努力してい るのに、ナゼあの人はああなのだ、この人は感謝しないのだ、と思っていたものです。いやいや昔のことでなく今もそう思うこと度々。まあそれが人間というも のでしょう。それで良いと思っています。ほんわかほんわか。

※高松次郎(1936-98):東京生まれ。日本の現代美術界にあって終始一貫して知的な視覚表現をもとめつづけた。東京国立近代美術館などに収蔵されている。この作品はアキライケダギャラリーが幕張メッセで開催したPHARMAKON’90のために制作された。

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。