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国献男子ほんわか日記208 トランプ大統領に備えトランプ後に備える世界

国際協力実践家 小島康誉

ドナルド・トランプ氏が米国大統領に1月20日再就任した。矢継ぎ早に独自政策を打ち出している。気候変動問題に対する国際的枠組み「パリ協定」から離脱、感染症など対応の世界保健機関(WHO)から脱退、メキシコ国境に「非常事態」宣言、カナダ・メキシコに関税25%示唆、パナマ運河返還を要求、化石燃料増産へ規制見直し、メキシコ湾を「アメリカ湾」に改称、中国に2月から10%追加関税を検討、対外援助の一時停止、カナダをアメリカ51番目の州にと再度発言。これらは1月25日時点であり、今後も次々と動くだろう。

就任前にはデンマーク領グリーンランドを「安全保障上、必要だ」と購入を迫り、大臣・大使級が招かれる就任式に箔をつけるため大臣より格上で出席あり得ない習近平中国国家主席を招待すると度々発言、巨額の選挙資金を寄付したマスク氏など「身内」で閣僚を固め・・・。就任式では「米国の黄金時代が始まる。この瞬間から米国の衰退は終わる」などと前バイデン政権を猛撃し「アメリカ第一」を声高に叫んだ。

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トランプ外交は「恫喝外交」とも報じられている。世界がその言動に備えている。任期は2029年1月までの4年間。「憲法を改定し、3期目もありえる」との発信もあるが、あり得ない。頭髪が示すように、78歳なりの身体の衰えも目立つ。老人特有の言動も多々。トランプ氏がハリス氏に勝った要因の一つに「暗殺未遂」がある。演説会で銃撃され、星条旗をバックに出血しながら「ファイト!」と拳を振りかざす姿に選挙民の多くが「強いアメリカ」を感じた。銃社会の同国で、再び「暗殺事件」が起きないことを祈りたい。トランプ・ゲームの「ババ抜き」にならないことを念じたい。世界調和を推進してほしい。

昔のアメリカは世界唯一の超大国だった。圧倒的な軍事力と経済力で「世界の警察」とも称された。今やその力を失いつつある。その時代に育ったトランプ氏はそのDNAから「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大な国に)が口癖だ。しかし、世界は大きく動き多極化し、中国がすぐ後ろに迫っている。各国の発言力も高まっている。トランプ氏の思うようには動かない。アメリカにも良識派・協調派が多数いる。国内出生児には自動的に国籍が与えられる「出生地主義」制度を廃止する大統領令に対して、22の州の司法長官が「出生地主義は憲法の規定であり大統領令は違憲」と、提訴したのも一例。トランプ流の強引さに反発してデモも頻発。世界がトランプ後を想定し備えるのも当然の事。

トランプ劇場も政治家裏金問題も芸能人テレビ局騒動も根っこは同じ。権力・驕りから生じている。大小さまざまな権力をお持ちの方は充分お気をつけあれ。権力から遠く離れた小僧は国際理解促進の金力ねらいでバレンタインジャンボ買いま~す。(01/26記)

ここは何処?これは何?

何かと忙しい皆様に気分転換クイズ「ここは何処?これは何?」。正月2日撮影、ある施設の一角です。さてさて? 答えは最後に。

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答(上から):羽田空港第2ターミナル国内線出発ロビー「電話リレーサービス」=聴覚や発話に困難のある方と聴覚障害者等以外者との会話を、通訳オペレータが手話・文字と音声を通訳することにより電話で双方向につなぐサービス。同第2ターミナル屋上。同第2ターミナル吹き抜け部分。同第2ターミナル国際線出発ロビーの自動手荷物預け機の後側。
一番下の答&疑問:同第2ターミナルの一角、狭い通路を通りトイレへ行く手前に喫煙室。トイレへ行くとき戻るとき、喫煙室開閉時の煙害が。ほんわかほんわか。

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授などを歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。