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国献男子ほんわか日記27 国際貢献は共生

国際協力実践家 小島康誉

あけましておめでとうございます。お健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。世界の人々が安寧に暮せる年になると良いですね。今年もよろしくお願いします。

正月にふさわしい嬉しいニュースをひとつ。私もかなり登場したNHK・BSプレミアム「シルクロード・壁画の道をゆく」は好評で、再放送の予定と中島木祖也エグゼクティブ・プロデューサーから聞きました。1月13日(土)13:15から90分。また30分版も編集され1月31日(水)19:30から「シルクロード・壁画の道をゆく〈前編・敦煌莫高窟へ〉」、2月7日(水)19:30から「シルクロード・壁画の道をゆく〈後編・伝説の仏教王国へ〉」の予定だそうです。キジル千仏洞や西域のモナリザは後編です。観ていただければありがたいです。そして文化財保護の重要性を感じ取っていただければ幸いです。予定ですので近づいたら番組予告などで確認くださいませ。

一昨年末に仲介要請を受け、昨年2月中島さんらと新疆文物局を訪問、協議書を交わすも7月の撮影、そして10月の放映まで山あり谷あり、詳細を記載することが出来ないほど難渋。どうにか撮影・放映できたのは、長年の活動による絆があればこそ。資金提供だけといった一方的関係でなく、喜び合うといった共生関係を心がけてきたからです。

このような番組制作など仲介ボランティアに限らず、前回、報告しました「シルクロード児童育英金」や「新疆大学奨学金」「新疆文化文物優秀賞」にしても同様で、新疆側の考えを十分に尊重して共同で実施しています。「援助してやる」などといった考えは一切ありません。

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サインを求める学生も私も共に「ありがとう」(撮影:楊新才氏)

一例を紹介します。2010年、キジル千仏洞で「新疆亀茲研究院成立25周年大会」が新疆文物局などの主催で開かれました。私も北京大学教授ら約100人と参加。新疆文物局の盛春寿局長が「新疆が貧しかった時代は小島氏の資金が重要であった、経済的実力が出来た現在は人に尽くす小島精神こそ重要である。25周年を記念して小島氏より職員通勤用バスが寄贈される」とスピーチ、拍手が沸き起こりました。世界遺産登録準備(2014年登録)で奮闘している諸氏を激励・慰労する方法はないかと、盛局長と度々話し合って決めました。職員の多くは約70キロ離れたクチャから通勤、バスの便が少なく苦労していたからです。

共に生きる=共生の語源は諸説あるようですが、浄土宗大本山増上寺法主や大正大学学長・衆議院議員なども務めた椎尾弁匡師(1876-1971)が1922年に始めた仏教を社会に生かす「共生運動」がその始まりとも言われています。共に働き、共に喜ぶ、人生を共有する、そのひとつの実践が国際貢献と捉えています。

ありがとう一日100回運動

人生は感謝。旅は道づれ、世は情け。銀河系地球号で旅を続ける76億人。敬いあい支えあい助けあうことが必要。感謝しあうことが重要。昔から「駕籠に乗る人担ぐ人そのまた草鞋を作る人」と言います。敬いあい支えあい助けあうことで社会は動いていると思います。ほんわかほんわか。

しかし現実は、親が子を殺し、いじめで同級生を自殺させる世相。騙す人があふれる社会。日本のみならず世界中で、次からつぎへ起こる悲しい出来事。暗い出来事が次々と起こる現代。不愉快・不透明・不可解なことがつづく日本そして世界。認めあい敬いあい感謝しあう気持ちが減っているからではないでしょうか。

希望にみちた地球を子供たちに残すためには助け合いが必要。日本を世界をより良くするには感謝こそ大切。感謝こそ自分も周りも幸せになる秘訣。ありがとうは幸せの力。

そんな願いをこめて、会社経営も文化財保護研究も国際貢献も…実践してきました。そんな願いの一端として、「ありがとう一日百回運動」を20年ほど前から提唱しています。同じ頃アメリカでRandom Acts of Kindness(何時でも誰にでも親切に)という運動が始まったそうです。

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小僧落書き、背景はパリ-シャンゼリゼ(撮影:筆者)

ある台風の時、新幹線に閉じ込められ、京都から東京まで通常の約3倍、8時間かかりたどり着きました。これもまた得がたい経験、ありがたいこと。このような「一見ありがたくないことも、ありがたいと受けとめることが幸せになるコツ」ではと小僧は考えています。感謝を無理にでも見つけて元気をいただいています。ほんわかほんわか。

「ありがとう」と出来るだけ多く言うようにしています。出来るだけ多くでは、はっきりしないので一日百回運動。仕事でなら一日に百回ぐらいおっしゃるでしょうが、仕事としてではなく一日百回。出会う人々・電話・手紙・食事・買物・乗り物……。自販機や自動改札にも。今日も京都・奈良・名古屋の活動を終えて新幹線で帰京、自由席恒例の検札にも「ありがとう。ご苦労さま」。「ありがとう一日百回運動」を推進すべく、「ありがとう便り」を出したり、「ありがとうスタンド」や「ありがとうクリアファイル」を作ったり。ありがとうは魔法の力。ありがとうすべてのすべてありがとう。ほんわかほんわか。

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オマケの一枚:リニア新幹線品川駅工事(撮影:筆者)

写真左が東海道新幹線品川駅です。この地下約40mをリニア新幹線が走るとか。工事現場看板に「平成33年2月10日まで 昼夜施工」と。開通予定の2027年はさらにその先。スゴイ話ですね。

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。