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国献男子ほんわか日記47 ニヤ遺跡調査30周年記念展、盛大に開幕
国際協力実践家 小島康誉半年振りに新疆ウイグル自治区に来ています。国際協力の実態を知っていただくために少々長いですが詳しく報告します。
9月19日、中部空港を発ち北京で乗継ウルムチ安着。私の国際協力を実体験したいと「小島康誉氏と行く新疆スタディーツアー」がくまれ畏友諸氏が同行。浅井章博団長・大木光章秘書長・梅村勲・酒井友義・柴原薫各氏です。ありがたいことです。
空港で王衛東新疆文物局長や唐亜芳新疆政府外事弁公室員らが花束で出迎え。ホテルでは聶晶斉ウルムチ市政府外事弁公室副主任らが出迎え。部屋で楊新才元新疆日報主任記者と『邁進新時代』(仮称・中国語)の打合せ。時計が24時を回ったところで就寝。
9月20日、李文暎所長の案内で新疆文物考古研究 所参観、数々のミイラに諸氏興味津々、日本でミイラを見る機会はめったにありませんので、当然ですね。国際バザール見学、中国各地からの観光客でごったが えしていました。海外客はまばら。紅山公園から市内一望、林立する高層ビルに皆さんビックリ。
于志勇館長の案内で新疆博物館参観、皆さんの要望で「楼蘭の美女」も見せてもらいました。顔などが昔より黒く変色しているように感じました。最終準備中のニヤ調査30周年展もチラット覗きました。石俊博物館書記から歓迎挨拶。
中国人観光客が押し寄せている国際バザール・高層ビル群
9月21日、第18回小島新疆文化文物優秀賞を文化庁で、玉蘇甫江文化庁長・王文物局長・浅井団長らと20人4組織へ授与。第一線で奮闘している人たちの大きな励みになっていると聞きます。累計で373人・組織となりました。
第33回小島新疆大学奨学金を同大学で、孟凡麗副学長・浅井団長・焦前院長らと58人の院生・学生へ授与。設立当初は生活費半年分以上に相当した金額に意味がありましたが、この奨学金が呼び水となって多くの奨学金が出来た今では、一番古い点が評価されています。計4,600余人に提供しました。受賞者は各界で活躍中、前学長も受賞者の一人です。
任華新疆政府副主席と会見、政府副秘書長・外事弁公室副主任・新疆大学副学長・文物局長・ウルムチ市副市長らが同席。任副主席より「類を見ない長期 貢献」とありがたい言葉。また「1月から8月迄で観光客1億人、年間では.3億人に達するだろう」と。確かに中国人観光客が至るところにあふれていまし た。海外客はまばらでしたが、日本からの観光も大手旅行社が募集再開し戻りつつあるようです。邦人観光客復活を願っています。当方からはニヤ調査30周年活動を報告。つづいて任副主席歓迎宴、赤ワインから白酒にうつり乾杯の連続、盛り上がりました。
左)任華新疆副主席と会見
右)文化文物優秀賞おめでとう!笑ってわらって
奨学金おめでとう!証書サイン殺到
9月22日、新疆博物館で「ニヤ・考古・物語-中日ニヤ調査30周年成果展」開会式に参列、王局長につづき挨拶。同展を于館長の案内で参観。展示品の一部は日本側が提供した資料や写真。「外国人と共同展開した調査の記念展が盛大に開かれるのは尋常ではない」とTV局記者。ありがたいことです。1995年に発掘した「五星出東方利中国」錦のコーナーには黒山の人だかり。来年1月末まで開催、機会があればご覧下さい。このニヤ調査文物展のことは次回に詳しく紹介するつもりです。
続いて「日中ニヤ調査をふりかえって」をPPT講演。1988年の新疆大学奨学金証書を持参した人がやってきてビックリ。「観光ブームで一日1万人来館」と于館長、確かにこの日も数日前もギッシリでした。王局長へ安藤佳香佛教大学教授一行のキジル・シムセム石窟壁画共同研究への協力を要請、快諾をえました。すでに協議書は調印済みですが、念には念を入れて。
その足でトルファンへ。王霄飛トルファン文物局長歓迎昼食会では局長が「四季の歌」を披露。ありがたいことです。交河故城(世界遺産)とカレーズを参観しウルムチ帰着は深夜と忙しい一日でした。
ニヤ調査30周年文物展開幕式・講演会参加者の一人1988年新疆大学奨学金証書を持参
9月23日、小型機でウルムチからクチャへ、空港では葉梅亀茲研究院研究員が出迎え。クズルガハ烽火台(世界遺産)とクズルガハ千仏洞を参観。
キジル千仏洞(世界遺産)では歓迎昼食会後、日本から持参した線香と蝋燭、そして当地の果物を供え、ゆかりの人々の冥福と世界平和を願い諸氏と「般若心経」を唱えました。苗利輝研究員の案内で、8・10・17・38・新1窟などを参観。皆さん美しい壁画に感動すると共に外国探検隊により持ち出された無残な傷跡に溜息。
「日中友好キジル千仏洞修復保存協力会」の修復資金贈呈記念碑前で、皆さんへ30年前の募金活動を紹介しました。王恩茂全国政治協商会議副主席(故人)の記念碑に刻まれた鮮やかな字をさすりご冥福を祈りました。
仏の教えを説く壁画・無残なキジル大像窟を見上げる一行
9月24日、クチャ亀茲小学校へ今回の同行者と森信之氏の浄財により学用品など寄贈。20年前に上岡長作夫妻の資金協力をえて建設したクチャ希望小学校が他の2校と合併し規模も拡大された学校です。元の希望小学校も見学、幼稚園に生まれ変わるとか。
再び小型機でウルムチへ。トルファンとクチャ活動には陳欣偉新疆文物局員が新疆政府外事弁公室の公式書類を持参して同行、おかげで各地での検問も下車することなくスムースでした。ありがたいことです。夜は中山隆司トラベルアイランド社長手配による中国人経営回転寿司屋で乾杯。「名月を羅什とながめ深呼吸」、微力漸進します。
9月25日、 第20回児童育英金をウルムチ市第54小学校で、聶副主任・浅井団長・大木秘書長・梅村様・酒井様・柴原様らと児童50人へ贈呈。計1600人あまりとなるでしょう。豊かになった中国ですが、まだ十分でない家庭の子らは大喜び。漢族とウイグル族共学。参観した教室で囲碁を教えているのには驚きました。何故と質問すると校長「中国伝統文化の教育として週4時間」との答え。
答礼宴には新疆政府外事弁公室・文物局・档案局・新疆大学・ウルムチ市政府外事弁公室などから幹部の参加をえて、ワイワイガヤガヤ夜は更けていきました。赤ワインは「楼蘭」、そして諸氏が持参された焼酎が人気の的。文化庁・考古研究所・博物館の諸氏は業務多忙で欠席でした。南新疆支援政策「訪恵聚」が拡充されているようです。明日は北京経由で祖国日本へ帰ります。日中両国の皆々様、ありがとうございました。
育英金おめでとう!この子らに幸あれ
追記:26日、北京空港での解団時に諸氏から「国際協力の一助に」とご芳志をいただきました。ありがたいことです。ニヤ調査30周年を記念して、10月中旬出版予定の『中国新疆36年国際協力実録』(東方出版)を、1000冊ほど購入し、国際協力の重要性PRに各方面へ贈呈する予定ですので、その一部として使わせてもらいます。
さらに追記:帰国翌日、中国大使館主催「中国成立69周年祝賀・中日平和友好条約締結40周年祝賀レセプション」に出席。民間日本人のみならず、政治家・官僚・各国外交官・幹部自衛官・人民解放軍将軍・各国駐在武官・在日中国人…1000人あまり。
程永華中国大使、挨拶の最後に日本語で「大使として日本にもう9年、春が来た」。日中関係改善を春に譬えた締めくくり、会場から盛大な拍手。祝辞は日中議員連盟会長として林芳正文科相が「…程大使は春が来たとおっしゃったが、季節の順で夏が来ることを期待します…」と。日中関係の改善が順調に進むことを願っての発言ですが、夏の次は秋、そして冬。日中関係が再び冬にならないことを願うのは日中双方のほぼ全員でしょう。乾杯の音頭は福田康夫元首相。
阿南惟茂元駐中国大使夫妻にバッタリ。史代夫人から「天津テレビ泊客中国の貴方の出演分はもう放映されましたか」と。「天津テレビからもらったDVDを送ります」と返事。史代夫人もこの番組に出演済み。 (上記写真すべて楊新才氏撮影)
あえてローテク
今回、一緒いただいた皆さんは現役経営者、メール・国際電話を度々されていました。中には73カ国語対応インターネット翻訳機を使いこなしている方も。メモも紙でなくスマホに。世の中、急速発展中。
私はそれらに掉さして、あえてローテク。スマホどころか携帯も持っていません。Eメールもやっていません。化石人間です。不便といえば不便ですが、情報遮断もまた楽しいものです。私のメールは郵便・電話・FAX。公衆電話も減りました、郵便も土曜配達が無くなるとか。時代の流れですね。ほんわかほんわか。
小僧落書き:背景はウルムチ国際バザール(撮影:筆者)
不便とも言えますが、これはこれで楽しいものです。皆様も一度スマホから離れた生活をされたら如何でしょう。新しい発見があるのでは?新しい自分を発見されるかも?でもイライラされるかもしれませんネ。ほんわかほんわか。