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国献男子ほんわか日記48 ニヤ遺跡調査30周年、記念展好評

国際協力実践家 小島康誉

前回ご報告しました「ニヤ調査文物展」を少し詳しく紹介します。2018年9月22日、新疆博物館で開 幕しました。新疆文物局主催、新疆博物館・新疆文物考古研究所主管。今年3月、新疆文物局で王衛東局長・李軍副局長・于志勇館長らと打合せたニヤ調査30周年活動の一環です。短期間での大規模な展示会準備は大変だったと思います。要請により佛教大学宗教文化ミュージアムで保管している隊旗・調査機器・ロゴ入りシャツ・資料などもEMSで提供しました。

タイトルは「ニヤ・考古・物語-中日ニヤ考古30周年成果展」。博物館ロビーでの開幕式には130人ほど出席。司会は于館長、主な出席者が紹介され、王局長と社会科学院士が挨拶、つづいて私が挨拶。まさに突然の指名、1988年開始の調査を思い出しつつ拙い中国語でニヤ調査協力への感謝と記念展の成功を期待と話しました。通じたようで数回拍手いただきました。写真のロビー上部の赤い幕「習近平の新時代…」が中国らしいですね。

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開幕式、正面左演台で挨拶する王局長、正面右が司会の于館長、筆者は一列目中央

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記念展タイトル・于館長の案内で参観

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1995年第7次調査で発掘した「精絶国」王族男女合葬ミイラ・日中隊紹介コーナー

記念展タイトルには「中日ニヤ調査…」、英語でも「Sino-Japan…」と日中共同であることが明記され、日中共同隊の活動を紹介するコーナーも設けられています。写真や出版物などを参観者が興味深く見ていました。

私の国際協力を実体験したいと同行された企業経営者「中国と取引していたことがある。よくぞここまで」と。取材中のTV局記者からは「外国人と共同展開した調査の記念展が盛大に開かれるのは尋常ではない」と言われました。また居合わせた中国側隊員「共同で発見できた」「協力して保護・研究できた」と喜んでいました。翌日の新疆日報(人民日報の新疆版ともいえます)1面でも報じられました。

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記事拙訳

中日ニヤ調査30周年成果展開幕 「五星出東方利中国」錦など300余点貴重文物展示

22日午前、「ニヤ・考古・物語-中日ニヤ調査30周年成果展」が自治区博物館で開幕した。今回の展示は「ニヤ調査 風雨100年」「精絶名勝 オアシス文明」「輝く成果困難克服」の3部からなり、来年1月まで展示される。展示品はニヤ遺跡出土の貴重な300余点、例えば「五星出東方利中国」錦肘当・司禾府印・「延年益寿大宜子孫」錦枕・蜡染藍白印花綿布・「元和元年」錦・「王侯合婚千秋万歳宜子孫」錦・ニヤ遺跡1号墓地8号棺夫婦合葬ミイラなどを含み、中国古代新疆ニヤ遺跡文明の奥深い蓄積と大変化を再現している。ニヤ遺跡はタクラマカン沙漠南縁にある漢晋時代のオアシス集落遺跡である。1988年開始の中日共同ニヤ遺跡調査は新疆文化領域で最初の国外との合作項目である。1991年「中国渉外考古工作管理弁法」発布後、中日共同ニヤ遺跡調査は国務院の批准により中国最初の国際協力考古項目となった。

任華新疆政府副主席との会見時に「1月から8月迄で観光客1億人、年間では1.3億人に達するだろう」と聞きました。また于館長からは「観光ブームで一日1万人来館」と。確かに至る所に中国人観光客があふれていました。来年1月迄の今回の記念展も多くの方が参観され、日中相互理解促進の一助となるものと思います。なお中国の検索サイト「百度」でも多数報じられています。 (上記撮影:楊新才氏・筆者)

急いで急がず

慌て者の私はいつもバタバタと仕事しています。仕事といっても残念ながら無給で、持出しばかりですが。ニヤ調査の30周年記念本もバタバタ進行中です。新疆博物館での記念展は半年前の打合せで決まったとはいえ、具体的な連絡はなく、30周年本には「ニヤ調査回顧展(仮称)開催予定」と記載しました。

9月18日迄に文字校正や色校正も終えて、19日新疆へ出発。22日新疆博物館での記念展開幕式に参加、そこで初めて記念展タイトルを知りました。30周年記念本に正式名と写真を記載したほうが良いのは当然です。それとは別に新疆滞在中に写真変更必要事態が発生。しかし、すでに印刷段階に入っています。出版社へ「緊急事態発生、…帰国後に連絡します」とFAX。帰国後、その写真はその場所に合うものを探し出し急遽差し替えました。記念展写真は記念本に入れるスペースなく、別刷りの「帯」に2点だけ入れてもらいました。さらに出版社のエラーもあり、そんなこんなで出版が来月にずれ込んでいます。

このような時も急ぎますが急がないように心がけています。急いで急がず。嗚呼ほんわかほんわか。

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小僧落書き:キジル千仏洞トイレにて(撮影:筆者)

上記FAX後にクチャへ飛び、キジル千仏洞へ。トイレに急いで駆け込むと「急いで急がず」に相応しい表示があり、走り書きしてパチリ。ほんわかほんわか。

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。