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国献男子ほんわか日記52 桃紅柳緑のように
国際協力実践家 小島康誉NHK「シルクロード」を30年ぶりにオンデマンドで見ました。1980年に放映されシルクロードブー ムを巻き起こした中国中央テレビとの日中共同制作番組です。第6集「流砂の道 西域南道2000キロ」にニヤ遺跡へ到達するまでの苦労が取り上げられています。1988年ニヤ調査を開始する際、遺跡への進入ルートの参考に見て以来です。後に日中共同ニヤ遺跡学術調査第一次隊に参加するコルバン・イティリス・リジェプ各氏も映っていました。
一行はミンフゥン(民豊)から4日を要して遺跡の中心にある仏塔にたどり着きました。大沙漠で迷い遺跡を通り過ぎてしまったためです。途中のタマチャ(大馬扎)まで同行した故・井上靖氏は遺跡南方に広がる枯れた胡楊林をつぎのように記しておられます。「見晴るかす地平線まで胡楊の群落が埋め、それがみんな枯れている。枯れてから何年経ったか、何十年経ったか知らない。これだけ壮絶な墓所は、地球上にはそうざらにはないだろう…」と。
私たち1988年隊もミンフゥンから4日を要して仏塔に到達しました。枯れた胡楊林の北方には「紅柳包」(ホンリュウパオ)と呼ばれるタマリスクの小山が連続しています。写真をご覧ください。高さは1mから高いものでは10mに達するものもあり、前進を阻みます。その間を「右だ左だ」と難渋したためです。
私はニヤ遺跡を4度調査したスタインの遺跡周辺概念図も持参していたので、タマリスク帯でなく、それに沿う西側の沙漠を北上することを提案しましたが、中国側によりタマリスク帯が選ばれました。上述のように、「シルクロード」取材時に沙漠帯を北上し、遺跡を通り過ぎてしまった苦い経験が上記3人の脳裏に刻まれていたためでしょう。仏塔にたどり着いた感激は30年たった今も忘れられません。
拙著『中国新疆36年国際協力実録』61頁より
紅柳は秋には可憐なピンク色の花を咲かせます。調査隊ベースキャンプの特別ディナーは羊の串焼き「烤羊肉」(カオヤンロウ)。週一ぐらいで振舞われます。超美味。その串は「紅柳」の枝。香りが移りいっそう美味しくなります。
美しくいろんな色に満ちた春を表現する熟語に「桃紅柳緑」があります。この「桃の紅と柳の緑」と「紅柳」は関係あるのでしょうか。年も押し迫り間もなく新春。貴方様にとりまして輝かしい年となりますように。そして、世界の人々が安寧に過ごせますように。
酒池肉林も節約生活もたのしい
拙著『中国新疆36年国際協力実録』、おかげさまで好評です。「ただただ圧倒された」「ほんとうにスゴイ」「5冊注文した」「アマゾンで購入、貴重な写真を見て満足、値段も妥当」などの便りを今でもいただきます。いろんな贈り物もいただきました。高級肉やラフランス・書籍・希少酒・テレカ・海苔・香炉・煎餅・みかん・切手・商品券・金一封など など。ありがたいことです。
国際貢献に注ぎ込みすぎて節約生活を続けている私にとって、ひと時の酒池肉林でした。蛇足ながら「酒や肉が豊富で豪華な酒宴」を意味するこの四字熟語の「肉」に「肉欲」の意味はないとか、残念(笑)。
小僧落書き:背景は日々の夕食(撮影:筆者)
節約生活も楽しいものです。豪華な食事も楽しいものです。可笑しな人生です。行きつけのスーパーで、ちょっと有名な私です。作務衣で坊主頭が3割引や半額品ばかり買うから。
そんな小僧ですが千円札と十円玉をかき集めて年末ジャンボ30枚買いました。有楽町の1番窓口は日本一当たると長蛇1時間待ちの列。日本一売れるから日本一当たるだけなのに、人間は弱いですね。誰も並んでない5番窓口で買いました。ちなみに4番窓口はありませんでした。絶対に当てるぞ。大金が入って不幸になる人もいます。その点、私なら大金が入っても国際貢献へ直入。不幸せにはなりませんので、安心して当ててください。金欠国献男子から必死のお願い です。嗚呼ほんわかほんわか。
『中国新疆36年国際協力実録』が日本最大の中国情報サイト「Record China」で「こんな日本人もいるのか-中国政府から表彰され“現代の阿倍仲麻呂”と評された日本の僧侶」と大きく報道されました。ありがたいことです。検索いただければ幸いです。ほんわかほんわか。