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国献男子ほんわか日記74 即位礼正殿の儀 最高の外交

国際協力実践家 小島康誉

10月12日夜から13日未明にかけ日本を襲った台風19号は中部・関東・東北地方に甚大な被害をもたらしました。亡くなられた方々にお悔やみ申し 上げ、浸水などにあわれた方々にお見舞い申し上げます。私が住む東京湾べりの天王洲アイル一帯も強風が吹き荒れ、寓居がはいるマンションは大きく揺れ、周 辺では大小の木がなぎ倒され、運河はあふれる寸前でした。ボランティアに出かけても迷惑かけるばかりの老人、わずかな義援金を新聞社へ振り込みました。

「天皇皇后両陛下が心を痛めておられる」と宮内庁が15日明らかに。同じ日、菅官房長官は「予定されている即位礼正殿の儀と祝賀御列の儀(パレー ド)の準備は淡々と進めていきたい」と。台風被害の全容が明らかになるにつれ、18日政府は「祝賀御列の儀」は台風被災地への対応に万全を期すため延期 し、11月10日に実施すると閣議決定。

この74回がアップされる10月22日、即位礼正殿の儀が行われます。天皇陛下が即位され5月1日、令和の御代が始まりました。いくつかの行事の中心儀式が即位礼正殿の儀。天皇陛下が皇位を継承したことを国の内外に示す国事行為で、諸外国の戴冠式や即位式にあたります。

事前報道を集約すると次のようです。皇居宮殿で一番格の正殿「松の間」で行われます。皇族とともに、安倍晋三首相や各界代表、そして200近い外国 からの元首や祝賀使節が参列して、平安絵巻そのままに繰り広げられます。天皇陛下が即位を宣言するお言葉を述べられます。安倍首相がお祝いを述べ、音頭を とり参列者が万歳三唱。自衛隊により祝砲21発が放たれます。

もうひとつの重要行事が、五穀豊穣を感謝し、その継続を祈る天皇陛下一代で一度かぎりの大嘗祭です。11月14日夕刻から15日未明に古式ゆかしく行われるそうです。大嘗宮は皇居東御苑の芝生広場に、このためにだけ建設中。公開されていますので、工事現場を観てきました。10月末ごろ完成とか。

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建設中の大嘗宮写真(9/29撮影:筆者)に、小僧手書き「慶祝」をパソコン組合せ

観光客が次々と訪れていました。フェンス前には日本語と英語の説明パネルも設置されています。平和日本を象徴するかのように芝生広場には寝そべる男女や外国人ら…。11月9日には「国民祭典」が皇居前広場で開かれるそうです。

『Newsweek』日本版(19.10.1号)が特集「2020サバイバル日本戦略」を組み、その見出しは「悪意と謀略に満ちた仁義なき国際社会を“カモネギ”日本が生き抜くため知っておくべき7つのトリセツとは」。

そんな厳しい生存競争の世界にあって、「国民の生活は国家の存続と繁栄によって支えられている」という大前提からすれば、200近い外国からの元首や祝賀使節が参列する即位礼正殿の儀は最高の外交とも言えるのではと思います。安倍首相は来日する約50ヵ国の要人と会見し、茂木外相も50人前後と会談する予定とか、絶好の外交チャンスですね。

日本にとって同盟国アメリカはじめ世界各国との外交は、我が国の繁栄に直結しています。そのひとつ中華人民共和国は10月1日成立70周年を迎えま した。安倍首相が日本国駐中国大使館でのパーティーにビデオメッセージを寄せ、「大家好!」(皆さん こんにちは)と中国語でお祝いし、好評だったとか。

国内でも各種行事が行われましたが、長年にわたり日中両国の書籍出版や中国語サークルなどを行っている日本僑報社(段躍中代表)から『日本人70名が見た感じた驚いた 新中国70年の変化と発展』が出版されました。小僧も求めに応じて「相互理解促進を皆で!」を寄稿。

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『温故創新』表紙と背表紙の一部

また「人民日報」の劉軍国駐日本首席記者の『温故創新』も同社より出版されました。約6年間の日本各界取材の日本語報告集です。私メもチラット。孔 鉉佑中国駐日本国大使は序で「多くの日本友人に真実の中国を知ってもらい、ご自分の実際の行動をもって中日関係にプラスエネルギーを注ぎ込んでもらいたい と願っています」と。

日中友好と叫ぶだけでなく「自分の実際の行動で新疆での国際協力に微力を捧げている」小僧として嬉しい孔大使の言葉です。11月15日、中国大使館での第2回「忘れられない中国滞在エピソード」表彰式に段氏から招かれているので、孔大使にお会いできれば幸いです。

オマケの話①:上記義援金を募る読売新聞「台風 19号水害救援募金」に「救援金は全額、被災地に送り、義援金として被災者の救援に役立ててもらいます。事務経費には充てません」とあります。当然のこと ですが、中には各種経費や打合せ食事代までも集めた募金でまかなう団体もあると聞きます。

オマケの話②:年金が入り、義援金振込に行った郵便局での話。「身分証明できるものを」にはマイナンバーカードを示しOK。夫婦名を記入したら「連名では受付られません。カッコで囲います」と妻名の前後にカッコ。「前回は問題なかったのに」と言うと「だんだん細かくなりまして」と。

迷い咲く

数台前のパソコンに古い写真データが保存されていました。2002年に小僧を「囲む会」の皆さんと新疆を巡った時のものです。畏友11名と「楽しく ゆったり 有意義に」を掲げて、天山南北を旅しました。児童育英金贈呈・喜多野氏西山希望小学校建設調印・クチャ希望小学校学用品贈呈・キジル千仏洞&クズルガハ烽 火台&天山大渓谷&バインブルク草原&ナラティ草原&セリム湖参観…と当時の記録。いたるところで大歓迎を受けました。

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下手なスケッチと拙い「道歌」、笑覧ください

当時は下手なスケッチや拙い「道歌」をやっていたようで、帰国後に参加諸氏に感謝をこめて進呈した色紙の写真です。その時のことが鮮やかによみがえりました。

ほほえみがほほえみかえす夏の風 タクラマカンに蜃気楼たつ
あかき山祈る心経こだまして ゆかりの人と心かよわす
古道ごえいにしえびとの苦難しり 御名となえつゆれにまかせる
御仏は時空をこえておわします いのちいただき今を生きなん
極楽はいずこにありや南無阿弥陀 今が極楽ここが極楽
草原の乱れ咲く花みな仏 南無阿弥陀仏と我迷い咲く

17年経っても迷い咲く小僧です。これからも命ある限り、ほほえみ、心かよわせ、ゆれにまかせて、今を生き、ここが極楽と、迷い咲きます。「悟り」とは縁なき凡夫です。欲望の海でのたうち回る小僧です。強がりいえば「迷いこそ悟り」。お導きください。頓首再拝

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。