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国献男子ほんわか日記92 青春18きっぷJR北「単独維持困難線区」ほぼ全乗

国際協力実践家 小島康誉

コロナ疲れの皆様へささやかな癒しになればとオマケ一席:小僧は「鉄ちゃん」ではないが、昨年の春と夏に念仏唱えつつ「青春18きっぷ」(JR全線普通・快速・自由席1日乗り放題・5回券)で日本縦断を楽しんだ。「ほんわか70回」でご紹介。下がその略図。若者なら珍しくないだろうが、“初期認知症”爺さんでは数少ないだろう。誰かが「ギネスでは?」と言った。

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体験2回で強く感じたのが、JR北海道の苦境ぶり。人口減とモータリゼーションによる乗客減が主要因であるが、赤字が急増している。「ほんわか71回」で「JR東日本と合併したら、無理なら奇手ながら大赤字の北海道新幹線を東日本へ移管したら」と提案したほど。

JR北は2016年11月「当社単独では維持することが困難な線区について」を発表。全路線の約半分にあたる10路線、13線区、約1,237㎞である。関係自治体との折衝が続いている。沿線の方々の心中は容易に想像できる。
 その「困難線区」中の新夕張~夕張は昨年4月廃止され126年余の歴史が閉じた。廃線が確定した路線は別れを惜しむファンで賑わうが、廃線決定前に 乗車してこそ応援といえる。皆が乗れば廃線は避けられる。1人が乗ったところで大して役にも立たないが、1人1人の足し算こそ重要だ。 そこで、普段怠けがちな念仏に励みつつ、青春18きっぷJR北「単独維持困難線区」ほぼ全乗5日間。「ほぼ」は24日部分ご参照。下図の橙色部分が単独維持困難線区。

新型コロナ感染症が連日報じられていた中、「なぜ北海道?」と思われる方もおられよう。小僧は「新型コロナ制圧に協力しつつ、“新型コロナ不安症” で増大している実体経済への悪影響を少しでも減らすため、萎縮せず、“3密”に注意しつつ工夫し活動を! “不安症”飛んでけ~」と呼び掛けていた。 新型コロナ制圧への北海道独自「緊急事態宣言」が3月19日終了し、20日の安倍首相「大規模イベントは引き続き慎重対応を」、萩生田文科相「一斉 休校の要請は延長しない」発言を受けての実行(文末の後記ご参照)。同時に、JR北の苦境ぶりを少しでも多くの方に知って欲しいからであり、また極々小々 ささやか応援でもある。

東京オリンピック直前に東京~新大阪間の新幹線が開通した1964年当時の「国鉄」路線図を「乗りものニュース社」Web版より転載させて頂いた。 こんなに走っていた。「もし、単独維持困難線区がすべて廃止されたら」も作図し掲載した。寒気がする恐怖の図だ。他地方の皆さん、「北海道のことだ」と思 わないで。次は自分たちの地方で起こりうること。

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前日、頭陀袋に仏様・時刻表・それ用ルーペなどを詰め稚内空港着、乗客20名のみ。今回もマイルでタダ、感謝。稚内駅で青春18きっぷ購入。行きつ けの新橋金券チケット街で買うほうが安いが、JR北応援のため定価購入。ビジホで仏様安置、「新型コロナ」早期収束を願い勤行。翌日用パンなど調達、コン ビニ品部屋食。浴槽無も快眠。
 3月23日:お勤め後05:20稚内乗車。名寄・ 旭川・富良野・東鹿越・新得で乗り継ぎ、17:45帯広安着。曇雪曇雪曇。稚内は早朝&夜間無人駅のため検札なし、名寄で検印。富良野線、英語・ 中国語車内放送、外国人皆無の今ではさびしく響く。東鹿越~新得は2016年の台風被害復旧なく代行バス1時間余。ゴワゴワ手作りマスク着用小声念仏ほぼ つづけ439㎞・12時間25分(乗り継ぎ含む、以下同じ)。
 今日乗車の稚内~名寄・旭川~富良野~新得が単独維持困難線区。駅前ホテル、クレカ会社サービス券で無料、感謝。コンビニ弁当や翌朝・昼用パンお茶購入。依田勉三翁「開墾のはじめは豚とひとつ鍋」苦闘を偲びつつ「豚丼」弁当部屋食。法然さまの「阿弥陀仏と十声となえてまどろまん長き眠りになりもこそすれ」で爆睡。

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雪原を行く稚内~名寄ワンマン列車、乗客3人のみ

3月24日トラブル遭遇:四九日にあたり剃髪お勤め後10:28帯広乗車。遅いと思われようがこれが釧路までのドン行一番列車。「なむあみだぶ」でついウトウト。13:14釧路着。「着きましたよ」で飛びおり、改札口でビックリ。10日からの降雨・融雪・路盤流出等で根室線は釧路のすぐ先の厚岸~根室不通、釧網線は釧路~知床斜里不通、代行バスも無いと。略図破線部分ご参照。4月号時刻表はもとより念のため出発2日前に確認したYahoo路線情報にも反映なく正常表示だった。待合室で老女からミカン、「財法二施 功徳無量…」といただく。
 考えていた根室往復し網走までをやむなく諦め、タイトルも「ほぼ」全乗とした。北見までのバスがあると聞き、15:03バス釧路乗車3,450円、 途中の山中には方々に鹿の群れ、18:00北見着。JR北見19:03乗車、20:09網走安着。曇雪曇。バス距離ふくめ約325㎞・9時間41分。今日 乗車予定だった釧路~根室・釧路~網走が単独維持困難線区。ビジホ「先週より少し回復」と。コンビニで翌日用食料など調達し、部屋食。78歳誕生日プレゼントのトラブル有難く頂き仏様とカンパーイ。熟睡。

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運休を知らせる釧路駅表示版

3月25日:阿 弥陀様の計らいで目覚めお勤め。TV「東京五輪一年程度延期で合意」ニュース見ながら、ゆったりパンおにぎり朝食後カモメに見送られつつ10:20網走乗 車。昨日の北見を過ぎ、遠軽(スイッチバック駅)・旭川で乗り継ぎ、深川から留萌往復し21:37滝川安着。晴曇。ほぼ念仏つづけ391㎞・11時間17 分。今日乗車の網走~新旭川・深川~留萌が単独維持困難線区。ビジホ投宿、翌日用食料など購入、今日も部屋食。
 TV「東京都独自に、今週末は不要不急の外出自粛要請」と、すでに外出している小僧は帰京する土曜、翌日曜は外出自粛と手帳記入。洗濯。仏様とバタンQ。夢に20数年前の念仏行脚日本縦断時の留萌野宿が現れる。

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「1964年頃の市外への交通は殆どが鉄道」との留萌駅展示写真と駅名板をPC組合せ

3月26日:お 勤めはしょって05:49滝川乗車し富良野往復、08:45滝川帰着。路線バス230円と徒歩で新十津川駅へ。廃線近づき新十津川駅には鉄ちゃん30人ほ ど。記者も取材中、駅前に臨時売店さえ。一日1本のみで「日本一早い最終列車が出る」新十津川駅10:00乗車、今回乗車の困難線区で最多乗客13人! その一人「新得でも釧路でも見かけしました。方々に檀家さんがおられるのですね」と高知の方。「いや、念仏旅で」と合掌。北海道医療大学・桑園・岩見沢で 乗り継ぎ16:34苫小牧安着。曇晴。ほぼ念仏つづけ303㎞・10時間45分。
 今日乗車の滝川~富良野・新十津川~北海道医療大学・岩見沢~沼ノ端が単独維持困難線区。新十津川~北海道医療大学はJRと自治体合意、5月6日ラストラン7日廃止(後述※ご参照)。85年間お疲れ様でした。岩見沢での113分待ちも有難いと思える念仏力。明るいうちにビジホ投宿、感謝十念。今回初の部屋外食、ミスドで厚切り肉そば、身体が暖まる。翌日用食料調達し、熟睡。

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新十津川駅の残雪に「ありがとう 札沼線 ラストラン 令和2年5月6日…」幟

3月27日:お 勤め後07:52苫小牧乗車。鵡川・静内で乗り継ぎ、12:15様似安着。Yatta!折り返し、静内・鵡川・苫小牧・南千歳で乗り継ぎ19:14新千歳 空港安着。曇晴雨。鵡川~様似間は2015年の高波被害復旧なく代行バス往復9時間。ほぼ念仏つづけ322㎞・11時間22分。鵡川は昨年1月ミニボラ以 来。今日乗車の苫小牧~様似が単独維持困難線区。鵡川~様似間は昨年11月、沿線自治体廃線基本的了承、間もなく廃線。嗚呼。
 ガラ空き空港で一人乾杯スープカレー。空港放送「最終便出発後ビル閉鎖、滞留不可」、ロビー寝を諦めビジホ泊。「3密」中の密集・密接なかった活動を振り返りつつ極楽世界へ。

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この先の「えりも岬」まではバスと徒歩で約1時間とか

翌28日機内放送「最新式換気システムにより3分で新しい空気にすべて入れ替え」聞きながら、マイルで羽田安々着。7日間「二連念珠」繰って計27 万余回「新型コロナ早期収束祈願」念仏続け、停まって停まって青春18きっぷ旅。JR回って回って12.050円、青春18は超安い。皆々様ありがとうご ざいました。

今回、乗客多数だったのは、北海道医療大学~桑園~岩見沢間と苫小牧~南千歳~新千歳空港間のみ、他はガラガラ。人口減とモータリゼーションの中、JR北海道の皆さん必死の頑張り、まことにご苦労様。更なる経営革新を望む一人です。民営化されたといっても株主は第三セクター。完全民営化を急ぎ、北の大地を守ろう。国を守る観点から国家的戦略を期待します。コロナ禍で乗客 更に減少。北海道を守るためにも父祖の開いた北大地へ出かけよう、JRに乗ろう。

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JR北の苦境を象徴するような安牛駅舎&岩見沢駅での自撮り(以上7点撮影:筆者)

次ぎは白老町「ウポポイ」へ行くゾ~。方々の駅ポスターで知った「先住民族アイヌの歴史と文化を主題とした日本初、最北の国立博物館、民族共生象徴空間」。オープンしたら国際協力に通じる「共生」精神を学びに行きま~す。

尚、24日記載の釧路~網走はJR北海道HPによると本日4月10日時点でも一部区間運休中で、代行バスが運行されている。※26 日記載の新十津川~北海道医療大学ラストランは道内外の鉄道ファン押し寄せが予想され、新型コロナ感染拡大「3密」を避けるため、連休前の4月24日に前 倒し、27日「沿線住民限定ラストラン」と一端発表されたが、4月16日「緊急事態宣言」が全国に拡大発令されたことにより、急遽17日最終運行となった。

後記:上記活動は、新型コロナ感染拡大にともな い、政府が特措法に基づく「緊急事態宣言」を東京などへ発令し「外出自粛要請」などを求めた4月7日以前、また北海道&札幌市「緊急共同宣言」で「一斉休 校・外出自粛」を求めた4月12日以前、「緊急事態宣言」が全国に拡大された4月16日以前の活動です。
 「緊急事態宣言」は5月25日解除され、都道府県をまたぐ移動自粛要請も6月19日解除されたので、コロナ疲れのささやかな癒しになればと掲載しました。旅に出て自分を皆を元気にしよう。ほんわかほんわか。

 

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。