VOICE

国献男子ほんわか日記96 心と心 17年ぶりの便り

国際協力実践家 小島康誉

中国から小包到着。コロナ禍で航空便もままならぬ中、何事かと開けると、新疆文化庁の書記だった徐華田 さんの回想録『路漫漫』でした。B5版238頁の写真集。冒頭の略歴に「1942年江蘇省淮安に生まれ、63年国家分配により新疆へ赴任。66年中国共産 党に入党、機械工場勤務や新疆党委員会弁公庁副主任などをへて、98年新疆ウイグル自治区文化庁(トップの)書記に就任、2003年定年」などと。

北京で夫人ら家族と穏やかに過ごす写真が配された「序」には「あっという間の新疆を振り返ると、広い道も狭い道もあり、不順な道も回りくねった道も 険しい道もあったが、強い意志で歩み続け、勝利の彼岸に達した。新疆50年余の人生を『路漫漫』とまとめることとした。ありがとう新疆、私の魂と夢を燃や した第二の故郷!」(意訳)と記されています。

“

徐華田書記『路漫漫』の一部

両親・夫人・子供・孫のこと、党・仕事のこと、同僚・友人のことなど大量の記事の中に「我が日本の友人-小島康誉さん」と題した11頁もの特集。そ の冒頭が上の写真。写真5点ご説明。『外国友人中国情…』は新疆政府「小島氏新疆訪問20周年記念大会」(2001)の一環で出版された記念誌の表紙の一 部。「徐書記との握手」は新疆政府・新疆文化庁・新疆文物局と設立した「新疆文化文物優秀賞」授与式で。「5人記念撮影」は上記「20周年記念活動」で王 楽泉新疆党書記を中心に、左が杉本信行日本国駐中国大使館公使(故人)、右端が徐書記。「徐氏挨拶」は不明。

日中諸氏のご指導ご協力をえて実践してきた国際協力。ギクシャク続きの日中関係の中、なぜ40年近くも続けてこられたのでしょう? その一端が「徐書記にプレゼント渡す女性」写真に。女性は我が愛する妻。招聘した新疆文化庁代表団の東京での活動が終わり、京都へ向かう途中の名古屋駅1 分停車を妻に待ってもらいプレゼント、添乗中の私が写し次の新疆訪問時に渡した写真。このような行動が信頼につながり、協力が続きます。

特集の最後は「親愛的小島康誉兄弟, 謝謝您対我工作的支持, 我們永遠是好朋友! 衷心祝福您佛安!」と。退職して北京へ転居し20年近い徐氏から回想録が届き、外国人で唯一人特集が組まれるのは、口や頭だけでなく、心の交流を実践してきたから。

感謝の手紙を書き、徐氏との活動写真も載せた拙著『中国新疆36年国際協力実録』や私が報じられた最近の「人民日報」「環球時報」「人民網」などを EMS発送。郵便局「国際便ようやく引受再開しましたが、何時着くかは分かりません」と。オマケ:NHKが40年前の「シルクロード」を7~8月再放送。 懐かしい喜多郎のテーマ音楽と石坂浩二の語りでキジル千仏洞・ニヤ遺跡なども登場しました。

ドンドン 朝令暮改! 臨機応変!

新型コロナ収束に向かうかと思ったら、再拡大。日本だけでなく世界各地で。私の第二の故郷新疆でも5ヵ月をへて再発症。嗚呼なんとしつこい憎い奴! 未知の敵に向かって、日本政府は次々と対策。知事「朝令暮改だ」「冷房と暖房だ」発言に代表される批判も多々。しかししかし小僧は思う。朝令暮改おおいに 結構、次々変化するコロナ局面に対応するには朝令暮改しかない。冷房と暖房おおいに結構、抑制と経済対策の両面作戦しかない。

“

「船の科学館」駐車場に建設されたコロナ患者用療養施設(撮影・PCペイント:筆者)

臨機応変とも言います。朝令暮改!冷房と暖房!と批判するだけでなく、朝令暮改・冷房と暖房に至った要因も考えたいですね。人生ドンドン朝令暮改!臨機応変!で行きましょう。変化への対応こそ幸せの秘訣!

写真は日本財団がコロナ患者用に7月中旬に完成させた療養プレハブ140室。本日08/10時点で運用は開始されていませんが、今後も使われないですむと良いですね。オマケ:「特別給付金10万と持続化給付金200万円もらった。国の親が驚いている」と東京の中国人。日本は良い国ですね。ほんわかほんわか。

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。