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国献男子ほんわか日記43 約束まもって、ニューヨーク

国際協力実践家 小島康誉

6年ぶりにニューヨークに来ています。前回は大英図書館「ヘディン・スタインの遺産と最近の探検カン ファレンス」で発表し大西洋を越えて、今回は羽田から太平洋を越えて。目的は唯ひとつ。銀座の名店「小十」「奥田」、そして「晴海」の奥田透さんがパリに続いて開いたニューヨーク店への差入れ。チェルシーマーケット北の17ストリートに面した「奥田」は、当地にあまたある和食店でも評判をよんでいるようです。

当日、夕方便で急遽パリへ飛んだ奥田さんは動画でお心こもった挨拶と持成しを残していただきました。嬉しいことです。美しい一品一品は超美味、テタンジェ・コントとルフレーヴ・バタールモンラッシェは温度も絶妙、13時間フライト疲れが飛んでいきました。

奥田さんはパリでは新鮮な魚が入手困難なため、規制や常識とたたかい魚屋まで開き、さらに「活け締め」をフランス人シェフに伝授、今では「活け締め」をセルースポイントにするフレンチの名店もあるほどに。この突破力は私の目標でもあります。

「本物の日本料理」を通じて「日本文化」を発信しつづけるその心意気を皆さんが応援するのは当然でしょうね。パリでの「活け締め」講習会は「シルクロード国献男子30年」第16回で紹介しています。検索くだされば幸いです。

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出迎えのスタッフ・パリ行き前の奥田さんから心こもった挨拶(撮影:筆者)

元々はアメリカ東海岸4都市をめぐる割安ツアーのフリー日に立ち寄るつもりでしたが、集客できなかったと催行中止となり、やむなく個人旅行で来ました。当然割高です。そこまでして来なくても「また今度」と言えば済むことですが、予約といえど約束ですので、「約束は守る」主義の私はやって来たわけです。

国際協力を細々ながら36年も続けてこられたのは、「約束を守る」ことを続けてきたからです。世の中、有難いことが有るもので、出発前に国献を応援いただいている畏友から御芳志をいただき助かりました。感謝するばかりです。

ニューヨークの新名所は「トランプタワー」。5番街に面しハリーウィンストンの斜め前、隣はティファニー。度々デモもあり規制線がしかれ自動小銃をもった警官多数が警備する中、記念撮影する観光客であふれています。社長時代に取引先であったハリーウィンストンへは数度訪問しましたが、トランプタワーには全く気づきませんでした。

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トランプタワー前で撮影する人々(撮影:筆者)

向かい側ではトランプ大統領を皮肉ったバッジ各種が1個5ドル・3個10ドルで売られています。変革を求める人たちからは支持されているようですが、反対派も多いようです。

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バッジの一部(撮影:筆者)

トランプ乱暴オジサン、もう少しバランス感覚が欲しいですね。自国ファーストはどの国でも当然のことですが。自分ファーストでは?

どれも良し

「差入れ」以外に用もなく、昼寝をしに公園へきました。皆さんそれぞれ楽しんでおられます。親子づれ、犬づれ、老夫婦、一人歩き、若いカップル、ジョギング、ベンチに寝そべるホームレス、団体客、夏季学校の児童と先生、パフォーマー、結婚写真撮影、屋台屋さん、似顔絵屋さん、子供散歩屋さん、あるいは犬散歩屋さん。それぞれの人生、いろんなことがある人生。どれもこれも良いですね。

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小僧落書き:背景はニューヨーク・セントラルパーク(撮影:筆者)

いろいろあって当然。丸もペケも三角も四角も皆みんなOK。皆みんな楽しい。と思うようにしている小僧です。思えない場合もありますが。嗚呼ほんわかほんわか。

 

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。