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国献男子ほんわか日記78 OBEって? 所変われば品変わる

国際協力実践家 小島康誉

EU離脱問題で大きく揺れつづける英国。そのオックスフォード大学ボードリアン図書館から時々イベント 案内や寄付依頼などが届きます。何故?と思われるでしょう。私は中国新疆ウイグル自治区での日中共同ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡調査の過程で、両遺跡 を大々的に発掘したマーク・A・スタインに興味をもち、10年ほど前ボードリアン図書館でスタインの日記類と大英博物館でスタイン収集文物などを研究した ためです。

それらに新疆档案館と共同出版した歴史史料集『斯担因第四次新疆探検档案史料』などの研究をふくめて「スタイン第四次新疆探検とその顛末」を10万余字、図版65点でまとめ、『佛教大学宗教文化ミュージアム研究紀要』に発表。第四次新疆探検行程表と行程略図は一見の価値ある発表ではと自負しています。佛大Webで公開されていますので、興味ある方は覗いてみてください。

さて、本題です。ボードリアン図書館から届く各種便りの発信者名につづき、OBEと 記されています。ネットによれば、Order of the British Empireの略で、大英帝国勲章第4等だそうです。ちなみに英国の正式名はUnited Kingdom of Great Britain and Northern Irelandで、日本語では「グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国」と。

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“BODLEIAN LIBRARIES NEWSLETTER 2019”の一部

名前+OBE表記を日本流にすれば、姓名の後ろに例えば、瑞宝中綬章と表記していることになります。日本でも叙勲パーティーは開かれますが、発信文や名刺などに勲章名を記している方は殆どないと思います。〇〇博士と付記している方は見受けますが。

諺「所変われば品変わる」の一例ですね。国や民族が異なれば体制や文化なども異なります。それを比較するだけでなく、受け入れるのが国際協力の第一歩。多様性を受け入れ、多文化と共生することが求められます。「我が国ならこうなのに、あの国はどうしてああなのか。我が国のようにすべきだ」では、国際協力の世紀といわれる21世紀的ではありませんね。

所変われば事例:その英国のBBC、暫く前に「タイ国王が側室からすべての称号を剥奪した」と報道。時代劇でおなじみの「側室」にビックリ、世界は広いですね。

所変われば事例:韓国では日本製品不買運動が展開され、訪日客も激減。そんな状況下でも日本からの訪韓客は増加し続けていましたが、10月には減少したとか。一方でTV各局では依然として韓ドラやK-POP番組がいっぱい。国益意識・国民性の違いですね。

通過また良し

JR高輪ゲートウェイ駅の建設中写真を「ほんわか72回」で紹介したのは約3ヵ月前。今では九割がた完成し細部工事中。11月中旬に線路切り替え工事も完了。来春の暫定開業までは停車せず通過します。山手線の先頭車窓から写してきました。少しピンボケ。

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高輪ゲートウェイ駅通過写真(撮影:筆者)に小僧楽書PC組合せ

開業したら通過せず停車。開業までの“切ない恋”のような数ヵ月。我が人生も同様で、停まって欲しかった“あれやこれ”も停まらず通過して行きました。願いが叶わず通り過ぎて行き、奥歯を噛みしめたこと度々。義理人情や至誠が軽んじられる昨今、叶わなかったこと多々。つい最近も。残念×無念。がしかし、通り過ぎて行ったことも、それはそれで良かったと思うようにしています。嗚呼ほんわかほんわか。

年末ありがたい5連発⑴:ツルカメコーポレーション社長時代にジュエリー専門店チエーンで今日の利益をあげ、バスキアなどを大量に買付けアート事業で明日の繁栄の種をまいていたと「ほんわか71回」で紹介。その続きです。「今日の西日本新聞にバスキアが報道されている」と高塚明・永野浩史両氏から品川寓居へ連絡。
 その11月27日電子版「375万円が“100億円のお宝”に? 35年前購入のバスキア絵画、学芸員の光った眼力」 と、30数年前に無名のバスキア作品を買い付けた北九州市立美術館の学芸員の先見力を称える記事でした。永野氏「つまり同時期に買付けた小島先生の先見 力!」と添書き。ありがたい。バスキアなどウン10億円の作品群は数代後の社長時代にすべて売却されたとか。「今あれば凄いことに」とアチコチで。残念ですが、これも通過また良しと思わねば! これら作品を北九州市立美術館や東京国立近代美術館・国立国際美術館・名古屋市美術館・グッケンハイム美術館・ベルリン美術館などへ貸し出し異文化 紹介の役割も果たしていました。写真は今秋、六本木で開催されたバスキア展での一枚。ほんわかほんわか。上記の北九州市立美術館所蔵バスキア作品 “Bombero”も出陳されていました。

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撮影可作品“Carbon/Oxygen”を背にバスキアTシャツ+ウォーホルパンツで(撮影:小島聡子)

年末ありがたい5連発⑵:翌 28日、京都の佛教大学宗教文化ミュージアムへ“出勤”。ニヤ遺跡学術研究機構の廃棄書類整理で腰痛。早めに切り上げ定宿のある京都駅八条口へ。すごい混 雑。日の丸小旗を持つ人もいて観光客ばかりではなさそうと思っていると、孝明天皇・明治天皇陵で即位礼・大嘗祭終了を報告し帰京のため京都駅へ向かわれる天皇皇后両陛下の車列が眼前を通過。手を振り続けられる両陛下。スマホの群れ。小僧カメラ持参せず残念。皇太子同妃両殿下時代の天皇皇后両陛下に「新疆から来られましたか、遠いところご苦労さま」と「お声がけ」いただいた10数年前の園遊会を思い出しました。

年末ありがたい5連発⑶:翌 29日、名古屋シェーネル・ヴォーネンでの「ほんわか会」経営者諸氏へ「“祝賀御列の儀”延期での先見力」卓話。美味しいシャンパンやジビエで12名様大 盛り上がり。畏友U氏から国際貢献支援金いただき深謝。諸氏から東日本大震災の風評被害にいまだ苦しむ福島会津のヨーグルト、平山画伯カレンダー、パウン ドケーキなどもいただき合掌。通過してゆく平成31年・令和元年に乾杯!

年末ありがたい5連発⑷:翌30日、「小島和尚を囲む会」忘年会で「喪中はがきの季節。通過し てゆく諸行無常を楽しみましょう」法話。愛知岐阜三重の会員諸氏の親族もお亡くなりに。25名様から「感謝で今日を生きたい」などと近況報告。幹事の皆様 ご苦労様。涂善祥・矢野留美夫妻は中国琵琶とオーソレミヨ。皆さんからは干支色紙・チョコ・お茶・菓子、ありがとう。小僧から感謝をこめて「1億円焼きか ま」プレゼント。拍手喝采!

年末ありがたい5連発⑸:そ してこれを書いている12月3日、「人民日報」日本支局の劉軍国首席記者と銀座すし晴海で一献。劉氏生まれた1986年に小生キジル千仏洞保存協力開始、 劉氏約6年の日本勤務中に青森・福井・岡山以外の都道府県は全て訪問、ありがとう一日100回運動…に花が咲き、夜も更け通過していきました。大晦日まで、ありがたいことまだまだ続くでしょう。大晦日ジャンボ頼むゼ国献資金! 嗚呼ほんわかほんわか。

 

1942年名古屋生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、国際協力実践家。66年「宝石の鶴亀」(後にツルカメコーポレーション・あずみと社名変更、現エステールHD)を起業。93年株式上場。96年創業30周年を機に退任。中国新疆へは82年以来、150回以上訪問しキジル千仏洞修復保存、ニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡を日中共同で学術調査するなど文化財保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在は佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府顧問。編著『日中共同ニヤ遺跡学術調査報告書』『日中共同ダンダンウイリク遺跡学術調査報告書』『念仏の道ヨチヨチと』『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』『Kizil, Niya, and Dandanoilik』『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』「スタイン第四次新疆探検とその顛末」など。日本「外務大臣表彰」・中国「文化交流貢献賞」「人民友好使者」ほか受賞。